デビュー曲同様、波乱万丈な芸能人生

しかし、いっこうに入れてもらえない。

「やっぱりカラオケってみんなが知ってて歌われる曲じゃないとダメみたいで……。
ところが、今になって東野幸治さんや有吉弘行さん、明石家さんまさんがこぞって『なんちゅうタイトルや』って、クセの強いタイトルをイジってくれて。それで知名度が上がり、カラオケ会社さんの好意もあって入れてくれたんでしょうか」

デビュー当時はコンサートで歌うことすらなかった『♂×♀×Kiss』も、最近は披露する機会が増えたという。それもカラオケ入りした要因なのではないかと分析する。

「ももクロ(ももいろクローバーZ)のみなさんが大晦日に毎年開催している年越しライブ『ももいろ歌合戦』にありがたいことに3年連続で呼んでいただき、『♂×♀×Kiss』を歌わせてもらいました。カラオケにないから、わざわざわバンドさんが生演奏してくださったんですよ。

自身のブログタイトルも『♂×♀×Kis』
自身のブログタイトルも『♂×♀×Kis』



あと、『オードリーのオールナイトニッポン』の10周年記念ライブでも『♂×♀×Kiss』を歌わせてもらいました。
イベントでは黒いブーメランパンツ姿の春日さんと熱い接吻を交わすハプニングも大爆笑でした」

40年の時を経て日の目を浴びるようになった『♂×♀×Kiss』。
このデビュー曲と同じように、松本明子自身の芸能人生もまた波乱万丈だった。

「デビュー翌年に出演したラジオ番組で大先輩に乗せられて放送禁止の4文字の言葉を叫びました。言葉の意味もわからずに『話題になるかな、売れるかな』と思ったのですが翌日から謹慎……。
当時は売れたい一心での突発的な行動だったんです」

しかし、その数年後、“元祖バラドル”として返り咲いて再び売れっ子に。1990年2月22日発売の芸能誌「週刊明星」ではバラドル転身後に初めて出した曲『この恋いけませんか』をカラオケで歌う様子が報じられている。

アイドルから一転、バラドルとしての活躍を紹介した「週刊明星」(1990年2月22日発売号)
アイドルから一転、バラドルとしての活躍を紹介した「週刊明星」(1990年2月22日発売号)

ここ数年はバラドルとしてよりも倹約家としての露出も増えてきたが、ここにきて“デビュー曲”“ 不作の83年組”“謹慎”の3つを大いにいじられ「50代で人生の最盛期が来ましたよ」と笑う。