レベル1
「まあ、ちょっと着にくいかな」クラスのTシャツたち
まずは小手調べ。
デザイン的にはおかしくないので、実はそこそこ普通に着ているTシャツをご紹介しよう。
他人の視線は気になるけど、そこは気の持ちようなのだ。
「THE STALIN」のロゴTシャツ
遠藤ミチロウが率いたパンクバンド、ザ・スターリンは今も右に出るものがいないほどの、スキャンダラスなステージングが語り継がれる伝説のバンド。
僕と同様に本当のファンだった人は「お、いいの着てるね」と思うだろうが、スキャンダル部分のみを中途半端に知っている人からは、少し変な目で見られる気がする。
あと、バンドのことは知らなくてもヨシフ・スターリンには詳しい共産主義者の前でも着にくい。
「戸川純」の睨みTシャツ
顔の写真やリアルイラストが大きくプリントされたTシャツは、意外と人目を引くのでちょっと着にくい。
ましてやこの戸川純の、三白眼で恨めしそうに振り返る表情は他人をギョッとさせるパワーがある。
僕は1980年代からずっと戸川純ファンで、今もよくライブに行くのだが、テレビで活躍していた頃しか知らない人に「“JUN TOGAWA”って、あの戸川純? いま何やってるの?」と聞かれると、説明するのが面倒くさかったりもする。
「エルヴィス・コステロ」のイケメンTシャツ
1970年代の若きエルヴィス・コステロを写したかっこいい写真だし、デザインもオシャレなのになぜ着にくいの?と思われるかもしれないが、やっぱり顔アップのフォトTは難しい。
ましてやこのコステロはイケメンすぎて、妙なアイドル視をしているファンのように思われるのが嫌だ。僕はコステロの音楽は好きでよく聴くけど、そういうんじゃないんだよな〜と思ってしまう。
じゃあなんで買った?と言われればそれまでだが。
「シャム69」のシックスナインTシャツ
ロンドンパンク勢の中で、僕がもっとも敬愛するシャム69(シックスティナイン)の、代表的なロゴがプリントされたTシャツ。
同好の士には「なんの問題が?」と思えるだろうが、パンクのパの字も知らない人の前で着るのはちょっと注意が必要。
「えーっと……。シャム、シックスナイン!?」と誤読する人が多いから。
ちなみにこの名は、バンドの中有心人物であるジミー・パーシーが見かけた、地元のサッカー場の壁に書かれた落書きに由来している。
「ザ・ルースターズ」のファックTシャツ
福岡出身の日本の偉大なロックバンド、ザ・ルースターズが、ボーカルの大江慎也を含むオリジナルメンバーで復活を遂げた2004年にリリースしたTシャツ。
カレッジ風デザインのシンプルなレタードTシャツだし、文章も特に問題ないけど、やっぱり目立つ位置に“FUCK”の文字があると着にくいよね〜という当たり前な話だ。
この場合のFUCKは単なる強調語で、アメリカ人なんかは砕けた会話で普通に使うけど、文字にされるとどうしても気になってしまう。