金融帝国スイスがプライベート情報を守られなくなった
従来「金融帝国」として君臨したスイスは富豪らがプライベートな情報が守られなくなってしまったとし、口座の維持を回避するようになり、シンガポール、香港、バハマ、ケイマン諸島、英領ヴァージン諸島、ルクセンブルク、ジャージー島へ移動した。
また、タックスヘイヴンのなかには悪質な脱税、マネーロンダリングのために利用されている地域があり、麻薬や武器取引、テロリスト集団の資金隠匿。暴力団やマフィアの資金が流入している。
大規模なタックスヘイヴンはオフショア金融センターと不可分の関係にある。しかし金融業に経済を依存しているために金融危機や破綻に脆弱であって想定外の事件が起きると甚大な悪影響が出る。ユーロ危機におけるアイルランドやキプロスは典型だろう。
主なタックスヘイヴンは以下の通りである。
アンギラ(英国領)、アンドラ、アンティグア・バーブーダ、バハマ、バーレーン、ベリーズ、バミューダ諸島(英国領)、英領ヴァージン諸島、ケイマン諸島(英国領)、ジブラルタル(英国領)、リベリア、リヒテンシュタイン、モナコ、パナマ、セントルシア、サンマリノ、バヌアツ、マン島(イギリス王室属領)。
『パナマ文書』『パラダイス文書』『パンドラ文書』
漏洩した機密文書の『パナマ文書』『パラダイス文書』『パンドラ文書』などが口座の実態やダミー企業、世界の大富豪たちの名前まで暴露した。
これではプライバシーの保護どころではない。富豪たちはもっと便利で有利で匿名性が確保されるタックスヘイヴンを求めて世界を彷徨い始めた。
英領ヴァージン諸島に中国共産党幹部の隠し預金が集合した。
この島では資本金1ドルで会社登記が可能だから、同じオフィスビルに数百のペーパーカンパニィが登録されている。合計2万数千社もの中国人ダミーの秘密口座があって、管理は弁護士事務所、これと連携する香港の会計事務所などが仲立ちする。同じヴァージン諸島でも米国領ヴァージン諸島にこの特権はない。
ロシアのオリガルヒはスイスからキプロスにいったん避難し、つぎにドバイへ資金を移管した。ドバイは日本の「参議院議員」(その後除名)が逃亡先として選んだように、世界の金持ちの伏魔殿化している。
また暗号通貨の大手、FTXは本社をバハマに登記していた。CEOだったバンクマンフリードは両親を島の豪邸に住まわせていた。バハマの首都ナッソーはニュー・プロビデンス島にあり、「パラダイス島」と橋で結ばれている。『パラダイス文書』の由来はこの島の名前からかも知れない。