日本や韓国は欧米より外見至上主義?
――ではマスク詐欺動画でも伝えたいことが?
YouTubeと違って加工が使えるTikTokの流行とともにルッキズムが増えたと感じていて。そのせいで、かわいく加工して投稿していた女の子たちが加工のできないテレビとかに出たときに「顔が違う!」とすごく叩かれるんです。
別に彼女たちは騙そうとして加工技術を使ったわけじゃないのに、勝手に誤解した人から叩かれるって酷いなと思ったことも、投稿した理由のひとつです。
――マスクをして素顔を隠すのが当たり前になった生活も、ルッキズムに拍車をかけている?
「【病む】赤の他人にマスク詐欺と言われて外せなくなったんだが」という動画でも最近あった嫌だったこととして報告しましたが、電車の向かいに座った5人組くらいの男子高校生が、他のマスクをしている女性の乗客の素顔を想像して点数とかつけてて。
私に対する話も聞こえてきたから怖くてマスクを外せなくなったんです……。
でもそういうことって口には出さないだけでみんな思ってるんですよね。女子だって“マスクイケメン”みたいな話はよくしてるし。
マスクが当たり前になったせいで勝手に素顔を想像して、実物を見てガッカリして文句を言う人や、それを恐れてマスクを外せない人も増えていると感じますね。
――それが日本の若者の脱マスク化を遅らせているのかもしれません。
日本って欧米に比べて容姿や外見を気にする人が多いなって思うんですよ。
海外の人はちょっとの外出ならTシャツ短パンでメイクも薄めだけど、日本人はメイクもファッションもバッチリキメる。
日本や韓国が外見至上主義だなと感じるのは、特に映画やドラマです。
ブスな子が整形したり、ダイエットやメイクを努力してチヤホヤされるといった、どちらかというと容姿が変わったら人がついてきた、みたいな作品が多い。
欧米は内気だった女の子が自信をつけて性格が明るくなって行動が積極的になったから愛されるといった、むしろ性格面にフォーカスした作品が多い気がします。
――なるほど。
ただ、そういう(美人になって成り上がる)映画やドラマがルッキズムを助長しているというよりは、制作者がはやっているものを取り入れた結果のような感じはしますが。
※
一時ネットを席巻したマスク詐欺動画には現代のネット社会に対する痛烈なメッセージが隠れていた。しかし、そうはいっても外見を疎かにするのはイマドキ女子には難しいこと。そんな若者の苦悩にmomohahaが思うこととは。
後編につづく。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班