補助制度を金儲けに“活用”したのは
業者だけではない 

そもそもPCRとはPolymerase Chain Reactionの略で、ウイルスの遺伝子を増幅して検出する方法。発見者のキャリー・マリス(2019年に死去)はこれにより、1993年にノーベル化学賞を受賞している。
原理としては、一本のDNAをもとに複製を繰り返すことで倍々にDNAを増幅し、そのままでは微量で検出できない患者の検体に含まれるウイルスが検出可能になるというもの。増幅は温度の上げ下げのサイクルで行い、この増幅の回数がCt値と呼ばれる重要な指標だ。
今回の新型コロナウイルスに関してはWHO(世界保健機関)がPCRを検査法と定めたが、Ct値についてはなぜか各国バラバラだ。
保健所職員が続ける。

〈5類引き下げでも温存されたコロナ利権〉倒産寸前の委託企業がPCR検査で大儲け、再感染を装い保険金を二重どり‥‥保健所職員が涙の告発!_3
PCR検査(写真はイメージです)

「Ct値も各国まちまちで、35以上なら陰性にするとか全然違うんですけど、日本の場合は感染研(国立感染症研究所)のマニュアルでも40以内で原則陽性だったので、出ればもう陽性にしろという感じでした。英国の研究では25未満の陽性者の検体は85%以上で他人に感染させるだけウイルスを培養できたが、35を超えると8.3%しか培養できなかったというデータも出ています。100個の細胞を植えてみて、生き残ったウイルスが8個ということはもう感染性はないんですよ。
誤解されている方がほとんどだと思いますが、PCR陽性イコール感染者ではありません。PCRでは死滅して病原性を失ったウイルスでも拾ってしまうので、症状の有無や病原性がないのも全部ひっくるめて陽性なんです」

実際に日本疫学会は自らのホームページのQ&Aで、新型コロナウイルス検査はどのくらい正確なのかという問いに対し、5月9日現在もこう答えている。

「今回のコロナウイルス感染症については、実際に感染していることの把握が難しいことから、実際の感染者に対してPCR検査がどれほど正しく診断できているかについての正確性の計算がまだできていません」

そして、補助制度を金儲けに“活用”したのは業者だけではなかったようだ。
2類扱いのために感染者と診断された場合、自宅療養であっても「みなし入院」とされ、生命保険各社とも入院給付金等の支払い対象としていたのだ。
保健所職員はため息まじりにこう話した。

「抗原検査では出ないけど、PCRなら1〜2カ月経っても陽性が出ることを詳しい方は知ってるんですよ。
で、病院にかかって感染症と診断されて保険をもらっても、保険会社によっては2カ月以内に『再感染』するとまた保険金がおりたんです。だから症状がないのにあると言い張って、わざわざバレにくいように自治体を跨いだ病院で再度PCR検査で陽性を引っ掛けて、また保険金をもらうという方がたくさんいました」

〈5類引き下げでも温存されたコロナ利権〉倒産寸前の委託企業がPCR検査で大儲け、再感染を装い保険金を二重どり‥‥保健所職員が涙の告発!_4
新型コロナウイルス(写真はイメージです)

PCRは本来、もっとふさわしい使い途があるはずだ。職員はこう訴えた。

「PCRで真の陽性ならいいけど、関係ないのを拾ったケースがすごく多かったと思います。
例えばインフルエンザは直接の死亡原因でも毎年何千人もいて、超過死亡まで入れると万単位になりますが、抗原検査しか使わないからそれぐらいで収まっている。PCR検査をすればもっと数は増えるはずです。それでも子供たちは学校に行き、社会も回ってきた。なぜコロナだけPCRに特化するのか意味がわからない。そんな感染症は山ほどあります。ノロウイルスとか、持っていて発症しない人なんかいっぱいいますから。

だからPCRは麻疹とか風疹とか結核とか社会的にダメージが大きいものに限定して使うべきだと思う。そういうのは封じ込めしないといけないものなので。でもコロナは風邪のウイルスとして普段から4種類あって、その5番目になりかわろうとしているのを、そこまでして捕まえようとする理由がわからない」