ひと目惚れした彼氏の家は
エホバの証人を信仰していて…

その後、高校へ進学した。

「不登校だったわりには勉強ができたほうだと思います。でも、内申点が心配だったので、昼間定時制に行くことになりました。そこで出会った人のせいで、さらに人生が狂わされました」

高校では、ひと目惚れをした人と付き合うことになったが、依存体質な彼氏だった。彼は母親から暴力を受けており、マイの目の前で彼氏が殴られたこともあった。そのため、彼氏を家に泊めることも多かった。

「彼氏は授業をサボる。自分もサボらされる。私が離れると、彼氏が過呼吸になるんです」

いつしか、依存体質な彼氏がいなければ、マイも「存在価値を失う」という共依存関係になっていった。そのため、高校を中退し、一緒に住むために働いた。ただ、彼氏はマイがいないと寂しがり、バイトに行こうとすると、「行くな」と怒った。結局、無断欠勤が続き、彼氏の祖父母の家に2人で居候した。彼氏の祖父母はエホバの証人の信者だった。

「エホバの証人の信者の家なので、教えとして『婚前の性交渉は禁止』です。一緒の部屋には寝かせられないということになりました。ただ、彼氏が『怖い夢を見た』と言うから、彼の部屋に行ったら、〝別人格〟のように豹変するんです。そのうち首を絞められたりすることも多くなって。バイトもできず、彼氏の祖父母の家からお金を盗むようになったんです」

盗んだお金は、ショッピングセンター内のゲームセンターなどで使うことが多かったが、ゲームに負けたらマイは彼氏に殴られた。お金がなくなると、メダルゲームに使うメダルを拾ってくるように言われたり、誰かの財布を盗むように指示された。そうこうするうちに彼氏の祖父母宅からも追い出された。

「お金目的でも性的目的でもなく援助交際を…」父はDV、母は宗教にハマり、元彼も…苦悩する宗教2世が父親の暴力を今も「虐待」と呼ばない理由_3
写真はイメージです ©shutterstock

「彼氏からのDVがひどくて。傘で殴られたこともありますし、服が血だらけになったこともありました。『電車に乗り遅れたのはお前のせいだ』と言われたり、多目的トイレで『土下座しろ』と言われたりしました。行くところがないので、神社のトイレなどで泊まりするなど、2人でホームレス生活したこともあります。

食べるものはスーパーで万引きしました。お風呂だけは彼氏の祖父母宅で借りました。エホバ信者としての慈悲もあったようです。警察には5、6回補導されましたが、実家に戻されただけ。また、彼氏が迎えにきました」