任天堂×イルミネーションの幸せな融合
任天堂と共同製作したのは、アメリカのアニメーション会社であるイルミネーション。これまで『ミニオンズ』シリーズや『ペット』シリーズ、『SING/シング』シリーズを手掛けてきた実績がある。
「もともとはプレイヤーがコントロールして進めていくゲームなので、ストーリーはあってないようなもの。しかもキノコ王国など、普通に描いたら荒唐無稽な物語になってしまう危険性があります。
僕がうまいなと感じたのは、配管工のマリオとルイージ兄弟が暮らす、現実世界のブルックリンから物語をスタートさせていること。謎の土管から魔法に満ちた世界に迷い込むことで、スムーズに物語に没入することができるのです。
よくできたフォーマットだなと思ったら、オズの魔法使いと一緒なんですよね。脚本を務めたのは『レゴ® ムービー2』(2019)のマシュー・フォーゲル。ゲームよりもさらにストーリーらしいストーリーのない、玩具を元にした映画を成立させた実績がありますから、さすがに外さないですよね。ピーチ姫のキャラクターを、救いを求めるか弱い女性としてではなく、マリオを導く自立した女性として描いたのも現代的でした。
そして、1時間34分の映画の中で、マリオの成長という軸が1本しっかり通っている。単純にゲームのキャラクターを使えばいいとか、人気の俳優を声優にキャスティングすればいいといった短絡的な作り方をせず、ちゃんとおもしろいお話で映画をラッピングしています。子供が喜ぶ愛くるしいエンタメ映画を手がけてきたイルミネーションの能力と、任天堂が作り上げた完成されたキャラクターと世界観がうまく融合したと思います。
もちろん、ゲームをしたことがない人が見ても十分に楽しめると思いますし、誰もがハッピーになれる、誰も損をしない作品です。今後、続編やスピンオフが作られていく可能性も十分あり得ます。
2023年の映画界の救世主になる1本になると思います」
文/ロードショー編集部
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023) The Super Mario Bros. Movie
上映時間:1時間34分/アメリカ・日本
ニューヨークに住む配管工のマリオとルイージは双子の兄弟。謎の土管から舞い込んだのは、魔法に満ちた新世界だった。離れ離れになってしまった兄弟が、絆の力で世界の危機に立ち向かう。
4月28日(金)より全国公開
配給:東宝東和
公式サイト:https://mario-movie.jp/