「初夜は女性が上の体位と定められている」…統一教会の驚きの合同結婚式のルール。こんな決まりがなぜ必要なのか
政治との癒着、霊感商法など、とてもまともな宗教とは言い難い統一教会。中でも奇妙に見える合同結婚式の仕組みを、統一教会の経典から読み解く。『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』から一部抜粋・再編集してお届けする。
『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』より
初夜は女性が上位と決まっている
合同結婚式のあとの初夜は、女性上位、など詳しく次第が決まっている。血を清める儀礼が、統一教会の教義の中心だから、そんなことを細かに決めているのだ。
第二に、創造論。『原理講論』が、神の天地創造をどう論じているか、その内容を要約してみよう。
創造論は、堕落論に比べて、議論が複雑でとても混み入っている。わかりやすく紹介するのが容易でない。
議論が混み入っている理由は、二つ考えられる。
一つは、文鮮明が執筆に困難を感じて、難渋したこと。うまく書けないから、理屈をこねくり回して、見通しが悪くなる。
もう一つは、もともと両立しない異なった原理を、つなぎ合わせているから。両立しないものを無理やりつなぎ合わせるのだから、論理が破綻する。それを誤魔化して目立たなくするため、もっともらしい用語を散りばめて、不必要にごてごてする。
実際は、この両方であると思う。
それでも文鮮明は、苦労して『原理講論』をなんとか書き上げ、それを繰り返し説教するようになった。自分なりに、その議論が納得いったということだ。そしてこの創造論は、統一教会の教義の柱の一つとなった。
*統一教会(世界基督教統一神霊協会)は、現在は、世界平和統一家庭連合と名前を変えています。新聞などは「旧統一教会」と表記しますが、本稿では歴史を尊重して、統一教会(Unification Church) と呼ぶことにします。
文/橋爪大三郎 写真/©shutterstock
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日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す
橋爪 大三郎
2023年3月17日発売
1,276円(税込)
新書判/368ページ
ISBN:978-4-08-721257-0
統一教会、日本会議…
宗教社会学の第一人者がタガの外れた政教癒着を警告
日本人は、宗教の訓練が足りない
◆内容紹介◆
カルトが日本を、蝕んでいる。安倍晋三元首相暗殺を機に、統一教会が自民党に喰いこんでいた実態が明らかになった。
だが、病巣はもっと深い。統一教会以外の宗教勢力も自民党に隠然と影響を与えている。
なぜこんなことになってしまったのか?
原点に立ち戻り、政治と宗教の関係を考え直す必要がある。政府職員も市民もカルトの正体を見抜く基礎知識を身につけよう。そして政教分離の原則を改めて体得しよう。本書は宗教社会学の第一人者がカルト宗教の危険性を説き、民主主義と宗教のあるべき関係について、基本から明快に解説する。
◆識者の評◆
オウム事件や統一教会問題を経験した日本でもっとも必要な知識がここにある。――有田芳生氏(ジャーナリスト/『改訂新版 統一教会とは何か』著者)
当代随一の泰斗が、その尋常ならざる「読む力」と「書く力」の双方を注ぎ込んだ本書は、今後「政治と宗教」の議論に参加する人々にとっての、ひとつの確かな羅針盤になるに違いない。――菅野完氏(著述家/『日本会議の研究』著者)