統一教会が日本で広まったきっかけと、自民党とカルト宗教が癒着していることの本質的な問題点とは。知っておきたい政教分離の基礎知識_3
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Q4日本では、政教分離と信教の自由について、
正しく理解されていますか。

あんまりちゃんと理解されていませんね。国家神道の後遺症もあります。

明治政府は、国家神道は習俗のようなもので、宗教ではない。よって、すべての日本人に強制する、と決めました。仏教徒もクリスチャンも、国家神道に参加しなさい。

でも戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に、国家神道は宗教だから、国民に強制してはいけないと言われてしまいました(神道指令)。割り切れない問題が残りました。

日本国憲法にも政教分離と書いてあるが

日本国憲法は、アメリカ合衆国憲法に倣ったものなので、政教分離と信教の自由が原則として書いてあります。でも、そのロジックがよく理解されていません。

まず、義務教育でこれをきちんと教えていません。大学でも教えないし、テレビや新聞もきちんと説明していない。教科書に載っていても、なかみがわからなければ、教えられません。すると、どうなるか。

憲法の原則、すなわち民主主義の原則にもとづいて、統一教会をどう考えたらいいか、よくわかりません。日本会議を、靖国神社を、創価学会を、…どう考えたらいいか、よくわかりません。

素人考えばかりで、迷ってしまいます。

だから、政治家が特定の宗教団体の支援を受けたり、宗教団体が政治力を発揮したりすることが、民主主義にとってとっても危険なルール違反であることが、わからないのです。

これは、政教分離や信教の自由、つまり民主主義の基本ルールから、ずいぶん遠い状況だと思います。


*統一教会(世界基督教統一神霊協会)は、現在は、世界平和統一家庭連合と名前を変えています。新聞などは「旧統一教会」と表記しますが、本稿では歴史を尊重して、統一教会(Unification Church) と呼ぶことにします。


文/橋爪大三郎  写真/©shutterstock

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日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す
橋爪 大三郎
統一教会が日本で広まったきっかけと、自民党とカルト宗教が癒着していることの本質的な問題点とは。知っておきたい政教分離の基礎知識_4
2023年3月17日発売
1,276円(税込)
新書判/368ページ
ISBN:978-4-08-721257-0
統一教会、日本会議…
宗教社会学の第一人者がタガの外れた政教癒着を警告

日本人は、宗教の訓練が足りない

◆内容紹介◆

カルトが日本を、蝕んでいる。安倍晋三元首相暗殺を機に、統一教会が自民党に喰いこんでいた実態が明らかになった。
だが、病巣はもっと深い。統一教会以外の宗教勢力も自民党に隠然と影響を与えている。

なぜこんなことになってしまったのか? 

原点に立ち戻り、政治と宗教の関係を考え直す必要がある。政府職員も市民もカルトの正体を見抜く基礎知識を身につけよう。そして政教分離の原則を改めて体得しよう。本書は宗教社会学の第一人者がカルト宗教の危険性を説き、民主主義と宗教のあるべき関係について、基本から明快に解説する。

◆識者の評◆

オウム事件や統一教会問題を経験した日本でもっとも必要な知識がここにある。――有田芳生氏(ジャーナリスト/『改訂新版 統一教会とは何か』著者)

当代随一の泰斗が、その尋常ならざる「読む力」と「書く力」の双方を注ぎ込んだ本書は、今後「政治と宗教」の議論に参加する人々にとっての、ひとつの確かな羅針盤になるに違いない。――菅野完氏(著述家/『日本会議の研究』著者)
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