佐々木朗希のピッチングの特徴
上田 佐々木投手の投げているボールがシュート回転し始めるのは、疲れによって体が開くからですか。
古田 彼は、人差し指と中指の間を開けずに投げるタイプで、一点集中型のピッチャーなんです。そのタイプのピッチャーは、たまにズレるんです。
上田 それは、ボールの軸とズレるってことでしょうか。
古田 そうです。普通は、 2本の指の間を少し開けて、ボールの縫い目のところで支えてストレートスピンをかけますが、彼のように 2本の指の間を開けずに投げると、軸の向きがちょっとズレてしまいます。指の間を狭めれば狭めるほど、グラグラしてしまうので、ちょっとのズレだけで曲がってしまいます。
上田 つまり、投げるスタミナがどうとか、そういう問題じゃないんですね。
古田 はい、肩とか肘が落ちたとかじゃなくて、ボールを握っている指の微妙なズレだと思います。実際、佐々木君が投げると、160キロぐらいでものすごく曲がります。あれはそうそう打てません。
撮影/笹井タカマサ
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