ヒット作になったことで、こづかいの増額は…!?

――映像表現と漫画表現の大きな違いはどこにあると考えますか?

回想シーンやその人のイメージを現実と同じように描けるのが漫画の良いところだと思います。ドキュメンタリー映像で回想シーンを作るとなると、どうしても再現VTRや過去の写真やビデオの資料を使う手法になると思いますが…。
それに比べて、漫画のフラットな感じは自分的にすごく描きやすいし、好きなところです。ただ、あくまで僕の主観に過ぎないので、ドキュメンタリー映画に比べたら大変申し訳ない気持ちになります。

――『こづかい万歳』の今後について、なにか考えてることありますか?

あまり考えてないです(笑)。感想とかを見ていると「自分ならこうする」みたいなことはまだまだありますし、もしかしたら物価高でこづかい制を選択する人も増えているのかなとも思うので、このまま続けていけたらいいですね。

――『こづかい万歳』は何度も重版がかかるほどのヒット作になりましたが、こづかいの額は2万千円から変わってないんですよね?

はい、妻からも変わらないと言われてます。こづかい制になって10年ぐらい経ちますし、僕ももう慣れてしまいました。もしかしたら子どもが成人したらちょっとは上がるかもしれませんけど、来月どうなるかもわからない漫画家の世界ですから、これでいいんじゃないかと……とはいえ、1万円ぐらい上がってもいいんじゃないかと僕は思ってるんですけどね(笑)。

#1 月額2万千円のこづかいは「デフレ日本の絶望の象徴」なのか?

取材・文/森野広明