世の中のありとあらゆるモノのサイズやスタイルがどんどんコンパクト&ミニマル化する中で、会員制倉庫型店「コストコ」は独自の道を突き進む! めずらしい輸入食品や大容量の惣菜が広い売り場にズラリと並ぶ様子には、テーマパークを訪れた時のような興奮を覚えるはず。今回のうち飲み向上委員会では、ソムリエの田邉公一さんと一緒に、アンダー2,000円のコストコのワインとお手軽コストコフードのベストなペアリングをお届け!
コストコのアンダー2,000円のお手頃ワインを厳選!
エディターAKIYAMA(以下A)コンビニワインの素晴らしいペアリングを教えてくれた田邉さんがカムバックです!
ライターYOKOMIZO(以下Z)ソムリエとして数々の名店で活躍し、輝かしいキャリアを築きながらも、カジュアルなワインもウェルカムなスタンスが頼もしい。さらに今回はアンダー¥2,000のワイン縛りですよ!
田邉公一さん(以下T)SNSのフォロワーさんからもコストコのおすすめを聞きたいという声を多くいただいていたので、今回をきっかけに訪ねることができてよかったです。おいしいワインをたくさん見つけましたよ〜!
A ペアリングのフードと、恒例の「ベストうち飲み賞」もお楽しみに!
南アフリカの新旗手「スタークコンデ ヴィンヤード・セレクション カベルネ」
T 南アフリカのスターク・コンデ・ヴィンヤードは好きなブランドのひとつで、業界の中では有名になってきています。カジュアルラインなら、プライスもお手頃だし、エントリーとしておすすめするにはちょうどいい感じなんです。
A 南アフリカのワインは最近話題ですよね、どういう特徴があるんですか?
T 元々フランスからの移民が多いので、葡萄は今回のカベルネ・ソーヴィニヨンなどフランス品種が多めです。アメリカ、チリなどニューワールドと呼ばれる比較的新しいワイン生産国に属するのですが、スタイルはフランス的。ニューワールドのワインはしっかり系のイメージが強い方も多いと思いますが、南アフリカはまた少しスタイルが違うんです。カベルネならボルドーより果実味豊かだけど、ニューワールドにしてはエレガントで穏やか。いい感じの中間なんですよね!
Z この赤ワインもフルーティで重たすぎず、飲みやすいです。お手頃でバランスの良い味、南アフリカのポテンシャルが高すぎる!
T シビアなタンニンの強さとかもなくて、わかりやすい味だから、ワインビギナーの方にはうってつけですよ! あとプライスも魅力。同じ品種でもフランス産だともうちょっと高いかな。
A ペアリングに選ばれたのは、リンゴの果汁に漬け込んでから燻製されたコストコの「アップルベーコン」。ほんのり甘みがあり、脂っこくなくてうま〜い!
T 南アフリカはソーセージとか焼肉を食べる文化があって、リンゴも有名なんですよ。このベーコンはふたつの要素のニュアンスがあって、テロワールとして相性が良いと思いました。互いの風味もバッチリです。
別格ゾーンで造られたキャンティ「ニポッツァーノ キャンティ レゼルヴ ルフィーナ」
Z キャンティといっても、味わいは本当にさまざまですね。以前コンビニワインで教えていただいた、セブン-イレブンに売っているキャンティとも違う! 昔からキャンティを作っているクラシコのエリアとニューカマーのエリアに分かれているというお話でしたが、これはエチケットの名前から推測してニューカマーですか?
A お! だんだん、ワイン通っぽくなってきたんじゃない!?
Z ど素人でもね、桜木花道を見習って進化しなくちゃ! ワインが大好きです、今度は嘘じゃないっす。
A ワインはずっと好きでしょ!? 『スラムダンク』に影響されすぎだから(笑)。
T このキャンティのポイントは、エチケットにルフィーナって書いてあるところです。後から広がったエリアの中にも良いとされる7つの地域があって、このルフィーナはそのひとつ。フレスコバルディという力のある有名な生産者もルフィーナで作っているなど格が違う、ある意味クラシコと勝負できる場所ですかね。 キャンティの中でも非常にエレガントで、上質なんです。
Z ルフィーナ、なんかかっこいい〜! 湘北高校における流川楓ですね。ダークホースのチームで、全国レベルの天才!
A ワインの例えとしておかしいよ(笑)。このキャンティは香りに複雑性があって、エレガントなテクスチャーで余韻も長い。こういうこと!
T ペアリングにはコストコのロングセラー商品「ビーフラザニア」がおすすめです! キャンティはそこまで重くない赤ワインなので、まろやかなチーズと相性がいい。それにラザニアにも使われているミートソースといえば、キャンティ王道のペアリングです。
庶民派白ワインの真価「ミュスカデ セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー テール・デ・リス」
T この白は、フランスの北側・ロワールという涼しいところで造られたワイン。葡萄品種はミュスカデです。
Z 初めて聞く葡萄です、ミュスカデはどんな特徴が?
T 穏やかな柑橘系の香りが、ミュスカデのキャラクター。ロワール川の下流で、海にかなり近いところで造られていて、ちょっと潮っぽいニュアンスや、若干ハーブっぽい香りがあります。ボリュームはなく、軽快な辛口という感じですね。シンプル系なんで、結構価格がお手頃でもあります。
A たしかにサッパリとフレッシュ。雑味がほとんどなくて私は好きです!
T ミュスカデってちょっと軽視されやすいんです。「安い辛口って、特徴がそんな強くないんでしょ」って、特にワインを勉強された人こそ思いがち。でも実は結構旨みもあってエレガント、すごくハイコストパフォーマンスだと思うんですよね。コストコで見つけた時に、そういう評判があるからこそ改めておすすめしたいと思いまして。せっかくだからこの機会に魅力をプッシュしたい!
A 海が近いということで、ペアリングには魚介類の「シュリンプ&ホタテ チョレギサラダ」をチョイスされたんですか?
T ワインの柑橘のニュアンスが磯の香りに合うので、シーフードは基本的に相性が良いと思います! パリのオイスターの店には、ミュスカデをグラスで出しているところが多いんですよ。甲州の葡萄の辛口と似ているところがあるので、お刺身や天ぷらなど、馴染みのある和食とのペアリングもおすすめです。
プロセッコのロゼ革命! 「KIRKLAND SIGNATUREプロセッコ ロゼ」
A ロゼのプロセッコはコストコのプライベートブランドからです。コスパが高くて、ありがた〜い!
T プロセッコは、万人受けするワインのひとつ。フルーティな味わいで、気軽なイタリアンが合うので、「ベレッタ アンティパスト バラエティパック」をペアリングにしました。
Z 華やかな味わいはちょっと甘みがあって春にぴったりですね。このペアリングでお花見したい!
T プロセッコは世界的に今流行っていて、その勢いにのって2020年にロゼが誕生しました。これまでプロセッコを名乗るには白しかダメだったんですけど、ピノノワールを使ってロゼを作ってOKとなったのが、たったの2年前。だからコストコのプロセッコ ロゼは、かなりタイムリーですよ!
Z それを聞くとますますテンションが上がります! ロゼのプロセッコの特徴は?
T 基本スタイルとしてはアロマティックですね。ピンクグレープフルーツやラズベリーの香り。白よりはちょっとタンニンがあって、オレンジやレッド系のフルーツを感じさせ、今回のように少し甘めのテイストです。ロゼスパークリングをこの価格でカジュアルに飲めるのはいいですよね。シャンパンだと価格がぐんと上がっちゃうから。
A アルコール度数も11%とワインにしては低く、疲れないで飲めるのが嬉しい。ロゼを許してくれた偉い人たち、グラッツェ♡