フリーランスに定年はない

私が国税職員を辞めてフリーライターとして独立するとき、周りの人たちから、とても心配されました。

家族がいますし、奨学金や住宅ローンも抱えているので、公務員という安定的な職業を捨てるのは、正気の沙汰とは思えなかったようです。

なかには独立を応援してくれる人もいたのですが、「お金よりもやりたいことをやるほうがいいよ」といった言葉で励まされることに、少し違和感がありました。

なぜなら私は、やりたいことをしながら、お金もしっかり稼ぐつもりでいたからです。相続税調査を通じて富裕層の実態を知ったことで、独立が金銭的にも成功への足がかりになると考えていました。

公務員には定年がありますが、フリーランスには定年はありません。やろうと思えば、死ぬまで働けますし、いったん本を書きあげて、それが売れ続ける限り、「印税」という不労収入を得ることもできます。これは株式投資における「配当金」のようなものです。

結果は人生が終わるときまでわかりませんが、少なくとも私は公務員を辞めて、フリーライターになったことを後悔するどころか、大きな成長への足がかりにしたいと思っているのです。

とはいえ、私は誰もがフリーランスになるべきとは考えていません。もちろん会社員や公務員として、定年まで勤めあげるのも立派なことだと思います。

どのような働き方であっても、本業や副業などで自分の経験や知識を養って、自分の市場価値をつねに高める視点をもつことは大切です。

これは、働き方が多様化して、定年後の人生も長い現代において、一生お金に困らないための基本戦略だと思います。


文/小林義崇

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