オーランド・ブルーム人気も晴らせない洋画の暗雲

2003年の初登場で注目すべきは、オーランド・ブルームだ。『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)のレゴラス役でブレイクした。ドワーフやホビット、オーク、ゴラムなど決して美しくないキャラクターたちのなかで、エルフの弓矢の達人はひときわ際立っていた。そのまま『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』(2003)で主役のひとりに抜擢。

『ハリポタ』人気にオーランド・ブルームの登場で盛り上がる洋画界。だが、日本映画の製作体制の劇的変化が、80年代から続いてきた“洋高邦低”を脅かし始める…_2
“オーリー”は、最後の“誰でも知ってるハリウッド・スター”だったかもしれない
©ロードショー2003年9月号/集英社
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ティーン・ピープル誌で「25歳以下のもっともホットな25人」に選ばれ、端正な美貌と親しみやすい濃茶の髪と目で、日本でも人気が出た。イケメンをスターに育てたい「ロードショー」が放っておくはずもなく、ローテーション入りが確定する。

それにしても2003年には、前述のシリーズの第2作目である『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』(2002)や『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002)のほかにも、『マトリックス リローデッド』(2003)と『マトリックス レボリューションズ』(2003)『ターミネーター3』(2003)『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』(2003)など人気シリーズの最新作が大挙して封切られている。人気の衰えない『マトリックス』のキアヌ・リーヴスも表紙に2度登場だ。

だが、これらの大作を押しのけて、邦画の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2:レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003)が興行収入173.5億円という大記録を打ち立てて、2003年のトップとなっている。

これがきっかけで、テレビ局主導の邦画作りが加速する。テレビ局が映画製作に参画、自社メディアで宣伝を繰り返し、観客を動員するパターンが確立するのだ。
テレビを通じた映画宣伝といえば、CMを購入したり、番組で取りあげてもらうために取材をセッティングするのが通常だった。だが、テレビ局なら自社メディアを好きなようにジャックできる。
かくして、一般視聴者の目には新作の洋画情報が届かなくなっていく。80年代中盤から続いていた「洋高邦低」時代の終わりが始まったのだ。

◆表紙リスト◆
1月号/ダニエル・ラドクリフ 2月号/エマ・ワトソン 3月号/イライジャ・ウッド 4月号/ダニエル・ラドクリフ 5月号/ニコール・キッドマン 6月号/レニー・ゼルウィガー&キャサリン・ゼタ=ジョーンズ※両者初登場 7月号/キアヌ・リーヴス 8月号/キャメロン・ディアス 9月号/オーランド・ブルーム※初登場 10月号/アンジェリーナ・ジョリー 11月号/シャーリーズ・セロン 12月号/キアヌ・リーヴ
表紙クレジット ©ロードショー2003年/集英社