中学校の対応、“もう一つの旭川事件”とは…
2021年4月、「文春オンライン」は加害者グループに直撃取材をしている。いずれも遺族が“主犯”だと訴える少年少女たちからは謝罪の弁もなく、爽彩さんがPTSDに苦しみ、挙句に命を絶ったことに対しても、「う~ん、いや正直何も思ってなかった」と答える者もいたと報じられている。
学校側の対応も特記されるべきだろう。日に日に憔悴してゆく爽彩さんを見て、母親は何度も中学校の担任に「娘がいじめに遭っているのではないか?」と相談したという。その相談回数は2019年4月に1回、5月に2回、6月に1回を数える。
「しかし、担任の答えは『(A子らは)おバカだから、いじめなどないですよ』『今日は彼氏とデートなので、相談は明日でもいいですか?』とはぐらかし、教頭も『10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。 1人のために10人の未来をつぶしていいんですか』などと発言、まったく取り合ってくれなかったそうです」(前出・支援者)
いじめの事実確認を求めるメディアの取材に対して「個人情報により、個別の案件にはお答えできません」と答えていた中学校側は、2022年秋におこなわれた保護者会では、前出の教頭の発言を否定、市教委も「(デートを理由にして断ったことなどについて)本人はそのようなことを言った事実はないと言っています」と回答している。
両者の溝は今も深まっており、市教育委員会は再調査を行う方針を表明、委員長には教育評論家の尾木直樹氏を選んだ。委員はほかに精神科医の斎藤環氏、児童心理に詳しい理化学研究所理事の仲真紀子氏らが参加し、遺族との面会や学校を視察、調査が進んでいる。
爽彩さんの死から2年、遺族の悲しみはいまだ癒える様子はない。2月13日には市内某会場で身内や近親者が集まり、爽彩さんの三回忌がおこなわれた。事件報道後、ネットではデマや誹謗中傷が横行し、今も爽彩さんや遺族を傷つけている。遺族は、あらぬデマを流したとして旭川市内の女性に損害賠償を求め、旭川地裁に提訴した。デマをSNSに書きこんだ人物は、遺族とまったく縁もない“人見知り”程度の人物だった。
#2では、ネットで始まった“もう一つの旭川事件”を詳報する。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班