収容所は映画『天国から来た男たち』そのままの世界
全国的に発生する連続強盗事件の指示役とされる日本人4人が収容されているフィリピンの入管施設「ビクタン収容所」で、施設の所長ら職員全員が交代した。警察と入国管理局が収容者に抜き打ち検査を行った結果、大量のスマホと現金が見つかったのだ。
施設関係者や元収容者らによって、金がモノを言うといわれた収容所の内部の様子や実態が、連日メディアを騒がせていたため、フィリピン側も改めざるをえなくなったのだろう。
賄賂の原資となる現金を、ビクタン収容所にいた収容者に直接運んだことがあるという暴力団関係者は、「収容所の中の様子を知るには『天国から来た男たち』という映画を見るといい」と教えてくれた。
『天国から来た男たち』は吉川晃司主演で2001年に公開された映画だ。監督は三池崇史、原作は林洋司の同名小説。他に山崎務、大塚寧々、遠藤賢一らが出演している。
吉川演じる商社マン、早坂幸平は大統領候補に賄賂を渡す任務のために出張したフィリピンで、麻薬の不法所持の冤罪で逮捕されてしまう。現地の収容所に収容されるが、そこは看守に賄賂さえ渡せば自由な暮らしができる場所だった。ここで早坂は収容所内で贅沢に暮らす、山崎演じる吉田克明の仕事を手伝い始めるというあらすじだ。
作品を実際に見てみると、最近、日本のテレビでも見ることができる収容所内部の映像とよく似た景色が映っていた。所内を制限されることなく自由に動き回る収容者たち、飛び交う賄賂。部屋は日本人だけのいわゆるVIPルーム。食事も外出も金次第で、世話係の存在まで描かれている。
「山崎が演じた人物には実在のモデルがいるようだ」と話す暴力団関係者は、収容者から「実際はあの映画よりもっとひどかったと聞いた。金さえ渡せば、収容者を使用人のように使うこともできたし、女の収容者が中で売春していたから女も抱き放題。金のない収容者は、そうやって収容所の中で稼ぐしかなかったらしい」と話す。