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「会社員に向いてないからプロを目指そうと」(梨紗)

――女流棋聖本戦トーナメントのお話を聞く前に、おふたりが碁を始めたときのことをうかがいます。愛咲美さんはお祖父さんの勧めで4歳でルールを覚え、5歳から囲碁教室に通い始めたそうですね。

上野愛咲美(以下、愛咲美) 最初はあまり自分の意志や感情もなくやっていましたね。

上野梨紗(以下、梨紗) 母が姉を囲碁教室に連れて行っていたので、どうせならと私もやるようになりました。

愛咲美 ただ、連れていかれるときは泣いていることもあったよね。

梨紗 囲碁が好きじゃなかったから……。好きになったのはプロになってからだったと思います。

上野愛咲美女流立葵杯・女流名人(写真左)と上野梨紗二段(写真右)
上野愛咲美女流立葵杯・女流名人(写真左)と上野梨紗二段(写真右)
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――好きじゃないのによく続けられましたね。

梨紗 楽しいこともあるといえばあるのですが、日本棋院の院生(プロを目指す子どもたちの研修会)のときは悔しさがいつもあって。ただ、強くなってからはけっこう楽しくなりました。

それでAIも出てきて、「あ、ここに打てばよかったのか」というのが明確になって、「奥深いな」と感じるようになりました。それに、学校の勉強は好きでしたが、あまり会社員は向いてなさそうだったから、それならプロを目指さそうと。

愛咲美 梨紗は会社員に向いてないとは思わないけれどね。

梨紗 いや、私も十分ポンコツだからね。なんかやらかしそう。

愛咲美 私よりかは全然大丈夫でしょう。

梨紗 まぁ、それはそうだけど(笑)。