【吉原・老舗ソープ殺人事件】逮捕された警備会社男(32)の父親が告白!「『結婚する予定はないのか?』と聞いたら『オレには構わないでよ』って」イジメもなく普通の子だとばかり…「祖母の死が関係あるのか…最後の会話は3年前です」
「こどもの日」の白昼、東京・吉原の高級ソープランドで風俗嬢を惨殺した今井裕容疑者(32)。嬢に入れ上げた末に指名拒否をくらい「きらびやかな彼女の人生を奪ってやろうと思った」と犯行動機を語る男の素顔とはどんなものなのか。成人するまで育った群馬県富岡市で直撃した父親は、困惑しながらも丁寧に取材に応じ、剣道に打ち込んだという少年時代の思い出なども語った。
裕は世間一般でいう『普通の子』だとずっと思っていたので…
ソープランドの個室での5月5日の犯行後、自らも腹を刺して重傷を負った今井容疑者は、回復後の13日に警視庁に逮捕された。取材班はその翌日、富岡市の実家で父親を直撃した。当初「もうすぐ警察の方から聴取が入るし、裕の東京での暮らしぶりについてはまったく知らないので」と頑なだったが、次第に神妙な面持ちで息子について語り出した。
以下はその一問一答である。

事件現場となったY(撮影・集英社オンライン)
――最後に会った際に、裕さんは仕事の悩みや愚痴などを口にされていましたか?
今から4、5年前に会ったのが最後ですけど、別に仕事の悩みなどは聞いていませんでした。
――9年前に上京した後は連絡も途絶えがちだったのでしょうか?
裕から連絡が来ることもなかったので、「まぁ上手くやってるんだろう」と思って、こちらから連絡することもありませんでした。そもそも裕はスマホにLINEを入れていなかったので、連絡手段はGmailか電話しかなくて…。たまに帰省するときも、妻が裕に電話をかけて日時を決めるといった感じです。裕は男三人兄弟の末っ子なんですけど、兄二人ともほとんど連絡のやり取りはしてなかったと思います。
――お父様が最後に裕さんと連絡したのはいつ頃ですか。
ちょうどコロナが始まったあたりの3年前くらいだったと思います。もともと私がパソコンの自作組み立てが好きだったので、それを頼りに裕から「パソコン譲ってくれない?」とメールがきたんです。パソコンを郵送すると、次は「Wi-Fiが上手く繋がらないんだけど」と相談が来まして。それで5分くらい電話を繋ぎながら、裕にパソコンの設定方法について教えたのが、最後の会話でしたね。
――通っていた学校について教えてください。
地元の公立小中学校で、中学校の頃は剣道部に入っていて、部活漬けの毎日を送っていました。隣町にある県立高校に進学してからは帰宅部でしたね。高校は確かに進学校ではありませんが、裕は中学時代、そんなに成績は悪くなかったと思います。小学生の頃は妻に口うるさく「勉強しなさい」と言われていたこともあって。でも私は「行きたい学校に行けばいい」という方針なので、高校進学も本人の希望に任せていました。

逮捕された今井容疑者(FNNより)
――高校卒業後は地元で就職されたそうですが、どんな仕事を?
すぐ近所に日産自動車の下請けの自動車部品製造工場がありまして、そこで車の部品をつくっていました。かなり大きな工場で、このあたりでは知らない人はいないでしょう。そこで2年ほど働いていました。
――小さいころはどんなお子さんでしたか?
学校や中学校の頃は、家族で夕飯を食べるときも、今日学校であったことを嬉しそうに話していました。家族仲もよくて。南北(下仁田)の方によくハイキングに行ってました。山に登ったり、川でヤマメを釣ったり、アウトドアな遊びが多かったです。
さすがに高校生にもなると、年頃ですから、だいぶ口数も減りましたけど、兄弟の中でも明るくておしゃべりな子でした。高校を卒業して工場で働くようになっても、「今日○○って仕事をしてさ」と普通に会話はしてました。
「彼女はいるのか?」「結婚する予定はないのか?」って聞いたら…
――自宅に友達などを連れてきたことはありましたか?
小中学校の頃は、何度か同性の友達を連れてきてテレビゲームをしたり、夏には一緒に地域の祭りに行ったりしてました。ウチはちょうど目の前に学校のグラウンドがあって、放課後や週末は解放されるので、よく友達と鬼ごっこやサッカーをして楽しんでいる裕の姿を見かけました。裕は世間一般でいう「普通の子」だとずっと思っていたので、事件の知らせにも驚くばかりでした。

群馬県の今井容疑者の実家(撮影/集英社オンライン)
――子どものころに学校でイジメられるようなことはありましたか?
それは絶対にないです。中学時代や高校時代も、本人の口から「イジメられてる」なんて聞いたことありませんし、三者面談でも、先生にそんなこと言われたことはありません。ここら辺は幼稚園から小学校、中学校とメンバーが変わらないので、男女ともに仲が良いイメージでした。ちょうど家の前に学校のグラウンドがあるので、女の子から「ゆたか、ゆたか」と呼ばれる姿もよく見ました。
――裕さんに付き合っていたガールフレンドはいましたか?
いや、たぶんいなかったと思います。ウチに女の子を連れてきたこともありませんし、本人の口からも聞いたことありません。4、5年前に最後に会ったとき、冗談のつもりで「彼女はいるのか?」「結婚する予定はないのか?」なんて聞いてみたんですけど、「オレには構わないでよ」と言われてしまった。「オレには期待するな」的なニュアンスで言われたので、東京に行った後も彼女はできていないんだな、と少し残念でした。
――今回の事件はニュースで知ったのですか?
事件の翌日、裕が搬送された病院から電話がかかってきて知りました。最初に電話に出たのは妻で、下着や歯ブラシなどを持ってきてほしいと言われたので状況を尋ねると「お相手は刺されて亡くなった」と伝えられたそうです。涙をボロボロ流しながら妻がそう報告してくれて、言葉が出ないというか、頭が真っ白になりました。

殺害されたAさん(本人Twitterより)
――地元の工場を2年ぐらい勤めて、「お金が貯まったから学校に行きたい」と言って上京したとのことですが、どんな学校に行こうとしていた?
ウチは「自分のことは自分で決めろ」というスタイルなので、裕が上京するときも細かいことについては一切聞きませんでした。「なにかやりたいことがあるんだろうな」と思う程度で、しつこく尋ねたりはしなかったので…。
なぜ事件を起こしたか、心当たりはありますか?
――親子の会話はありありましたか?
自分は土木関係の仕事でずっと働いていたんですけど、裕も高校に入って手もかからなくなってきたので、「もっと自分のスキルを上げたい」と思って、新潟にある知人の建設会社に入ったんです。ちょうどその頃は新潟での地震もあったので、瓦礫の処理など、北陸の方で仕事ばかりしてました。
最初は自宅から通ってましたけど、会社近くの社宅に住み込みで、1カ月ほど帰ってこないときもありましたので、今思うと、裕も寂しかったのかもしれませんね。一緒に過ごす時間もだんだん減っていったので、おのずと親子の会話も少なくなっていったと思います。

足立区にある今井容疑者が住んでいたシェアハウスタイプの寮(撮影/集英社オンライン)
――剣道以外で、裕さんに趣味はありましたか?
中学生の頃からテレビゲームはよくしてました。剣道部から帰ってきたら、2階の居間でよく兄弟3人で楽しそうにプレイしている姿もよく見ました。でも中学生の頃は「ゲームは2時間まで」とルールを決めていたので、それを破ったときは、裕を怒鳴ったこともあります。高校生になってからはそのルールもなくし、また帰宅部だったので、帰宅後はテレビゲームばかりしてました。高校にはいると近所のコンビニでバイトをしてました。貯めたバイト代で、新しいゲームソフトを買っていました。
あとは映画も好きでした。おもに見ていたのは洋画で、近所のレンタルビデオ店に入り浸り、週末は高崎の映画館に足を運んでいました。東京に出てからも一度「ムビチケってどうやって登録するの?」とメールが来ましたから、映画は今も好きだと思います。
――“普通”とおっしゃっている裕さんがなぜこんな事件を起こしてしまったのか、心当たりはありますか?
正直ないですね…。強いて言うなら、おばあさんが亡くなったことでしょうか…。3兄弟の長男は高校卒業してすぐに自衛隊に入隊。25才で結婚したんだけどすぐに離婚して、県外に引っ越してしまいました。そして今から9年前、裕が上京する直前に、おばあさんも亡くなってしまって…。
ウチのおばあさんはとにかく明るい人で、家庭の中心にいたので、やっぱり亡くなってからは、少し家庭が寂しくなった気はしましたよね。会話が減ったとかではないんですけど、なんとなくポッカリと穴が空いたというか。その頃は自分も転職して、県外に仕事に出かけることも増えたので、もしかしたら裕も寂しかったのかもしれません。
ただ、自分も仕事が忙しいながらも、子供には愛情を注いできたつもりですし、裕は優しくて思いやりのある子だと思っていました。群馬を出てからのことは知らないけど、本当に事件のことを知ったときは、その分ショックが大きかったですね。私も早く警察から事件の詳細を聞きたいです。

殺害されたAさん
東京での9年間という年月が、「優しくて思いやりのある子」を徐々に蝕んでいったのか。身勝手な動機で未来を突然奪われた女性に、手を合わせるしかない。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
Twitter
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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