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末恐ろしさすら感じた中川大志

「今年爪痕を残した俳優は?」と聞かれて、真っ先に顔が浮かんだのは中川大志だった。コメディかと思いきや、とんでもないお芝居を繰り広げてみせた主演ドラマ『ボクの殺意が恋をした』(日本テレビ)にはじまり、今年も出演作が多かった中川。

中でも特筆すべきは、やはり『鎌倉殿の13人』(NHK)で演じた畠山重忠だろう。30代、40代の熟練された、もはや職人のような俳優たちに周りを固められても一切の引けを取らない。それどころか、彼らを食ってしまうほどの貫禄を発揮していたといっても過言ではない。まだ20代前半の中川だが、鎌倉という混沌とした時代を生き抜いた40代の人間の凄みを醸し出していた。

特に最期、小栗旬演じる北条義時と対峙したときの中川は圧巻の一言。刀ではなく、拳をぶつけ合う様子はとにかく人間臭く、去って行くその姿は痛々しかったが、武士としての尊厳と誇りが宿っていた。

弱冠24歳にして、あの芝居。行く末が恐ろしくすらある。中川が大河ドラマで主演をやるのは、もはや約束された未来なのではないだろうか。