ラブシーンを描くとき重要なのは「照れないこと」

Q.10 コマ割りをする際、特に気をつけていることを教えてください。以前「漫画は、わかればいいと思っているんですよ。絵柄よりも、とにかくコマ割りが大事」とおっしゃっていましたが、とても読みやすく感じます。

とにかく華やかさより読みやすいことが優先です。読んでもらわないと、どんなにいい作品でも、描いていないのと同じですから。読みやすい漫画って、開いたら読む気がなくても読んでしまうんですよね。それをずっと目指しています。

Q.11 種村先生の描く、色っぽくてロマンチックなラブシーンがとても素敵です。ラブシーンを描くうえで大事にされていることがあれば、教えてください。

【漫画あり】「世界一のイケメンになったつもりで、読む人をエスコートしたい」–––––少女漫画界のカリスマ・種村有菜の描くラブシーンがとびきりロマンチックな理由_1
『猫と私の金曜日』より
漫画を読む

やっぱり照れないことかな…。描き手の照れが透けて見えちゃうと、ロマンチックなムードが台無しですからね。世界一のイケメンになったつもりで、そのシーンを読む方をエスコートしています。心からの言葉は、どんなものでも響くと信じているので。

Q.12 コマ1つ1つが華やかな美しさにあふれていますが、キャリアを重ねられるにつれ、「線」そのものの魅力、線自体がどんどん洗練されていくように見えます。線へのこだわりなどあれば教えてください。ほか、漫画の絵に関しての考え方の変化などがあれば、教えてください。

線に関してはいまだに理想的なものが引けたことがなくて…。今も試行錯誤でやっています。漫画の絵への考え方は、あまり変わってないかも…。上級者っぽく見せようとか、たとえば「ライブだからCDと違うアレンジで歌おう」みたいなこととか、そういう下心を出さないように、とにかく常に初心に戻って、下手なんだから丁寧に…を心がけています。画力はすぐにはどうしようもないけど、「丁寧」には価値が生まれます。