サプライズ介入の背景

「円買い介入」の効果と副作用。なぜ日本政府は負け試合にクローザーを投入したのか?_01
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たびたび国際金融市場の潮目を変えてきたカンザスシティ連銀主催の「ジャクソンホール会議」。8月26日に開かれたこの重要会議で、パウエルFRB議長は「やり遂げるまでやり続けなければならない」という強い表現で、インフレ抑制に強い意志を表明した。

これに対して、日本の黒田日銀総裁は「緩和継続以外に選択肢はない」と語るのみ。つまり、アメリカは利上げを加速させ、日銀はゼロ金利のまま動かないということだ。

こうして日米の金利差は15年ぶりの水準に拡大し、9月1日に24年ぶりに1ドル=140円台、7日には一時144円にまで円は下落した。

そして9月21日(日本時間22日)、「ジャクソンホール会議」での宣言どおり、FRBは3会合連続となる0.75%の大幅利上げを実行し、日銀は大規模緩和を維持した。すると円はさらに下落し、一時145円をつけた。金融筋が驚いたのはその直後のことだった。

政府・日銀が約24年ぶりとなる円買・ドル売りの政策的為替介入を断行し、円相場は一気に5円も上昇し、140円台にまで戻してしまったのだ。

9月7日に鈴木財務相が「あらゆる措置を排除しない」、9日には黒田日銀総裁が「急激な為替の変化は好ましくない」と発言したものの、これらは「口先介入」と報じられ、マーケットは文字通りこれらを「口先だけ」と相手にしなかった。

また、9月22日は日米だけでなくイギリス、スイスで中央銀行の政策決定会合日程が重なり、「中銀デー」となった。アメリカ、イギリス、スイスが金融引き締めに動くことは確実で、日銀の緩和継続も確実だ。しかも、日本は翌23日が祝日で外為市場の取引がない。

これだけ材料がそろえば、市場関係者は皆、場が荒れると考える。投機筋にとっては垂涎のタイミングだ。しかし、そこにだれも予想しなかった政府・日銀の円買い介入が入った。そのサプライズ効果は抜群で、円売りドル買いを仕掛けた投機筋はさぞかし大損したことだろう。