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学校現場においてはまずもって勤務時間管理の徹底を図ることが必要

子どもの学校滞在時間の課題は、2019年1月の中央教育審議会答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」においても、随所で指摘されている。

たとえば、「登下校時間をはじめ各学校における活動時間の設定も、必ずしも教職員の所定の勤務時間を意識したものになっていなかった」(12ページ)、「学校における教師の勤務時間と児童生徒の活動時間は表裏一体の関係にある。登下校時刻の設定や部活動(中略)教職員の勤務時間を考慮した時間設定を行う必要がある」(20ページ)との記述がある。

答申では、上記の課題を含めて、勤務時間の管理こそが最重要事項として示された。答申本文の14ページに整理された5つの課題の一つ目に「勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方の促進」が掲げられ、「今回の学校における働き方改革を進めるに当たり、学校現場においてはまずもって勤務時間管理の徹底を図ることが必要である」と主張されている。

答申に合わせて、文部科学省は「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を策定した。文部科学省のウェブサイトに公開されている「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの運用に係るQ&A」では、「『超勤四項目』以外の業務も含めて、しっかりと勤務時間管理を行うことが、学校における働き方改革を進めるために不可欠」であることから、「『超勤四項目』以外の業務のための時間についても『在校等時間』として勤務時間管理の対象にすること」として、従来の「教員の自発的行為」との解釈を変更させた。

図2-4「在校時間」の管理における「見えない残業時間」。『先生がいなくなる』より
図2-4「在校時間」の管理における「見えない残業時間」。『先生がいなくなる』より
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公立校では2020年4月から改正給特法の下で「在校等時間」の概念による勤務時間管理が始まった。定時外の勤務は1か月で45時間以内、1年間で360時間以内などの上限規定が設けられている。上限規定は労働基準法の下で働く民間の労働者の基準にならったものである。ただし、定時を超えて業務を遂行したとしても、それは労働基準法上の時間外労働、すなわち割増賃金(残業代)支払いの対象とはみなされない。在校等時間による時間管理が始まったとは言うものの、在校等時間の範疇から除外されてしまう業務がある(図2-4)。