コンビニは「変化創造業」

日本フランチャイズチェーン協会の発表によると、2022年の国内主要コンビニエンスストアの売上高は合計11兆1775億円と、過去最高を記録した。行動制限の緩和など人流の回復が好調の主な理由と考えられるが、一方で環境問題への対応や人手不足など、コンビニを巡る状況には多くの課題が残るという。

これらの課題を乗り越えるべく、全国に約1万5000店舗を展開するローソンは、2022年11月下旬に「グリーンローソン」(ローソン北大塚一丁目店:東京都豊島区)をオープンした。その経緯について、ローソンのインキュベーションカンパニー・事業開発部/マネージャーの只野ひとみさんは次のように話す。

「コンビニはその名前の示すとおり、お客さまやその地域が求める便利さに合わせて発展してきた“変化創造業”としての歴史があります。その一方で、近年は地球環境への配慮や省人化など、社会課題に対する取り組みが強く求められるようになりました。

では、便利さの追求とSDGsで示されるようなサステナビリティ(持続可能性)を両立するにはどうすればよいのか。ローソンでは、この問題に対するひとつの提案として、サステナブル型の店舗である『グリーンローソン』をオープンしました」

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東京都豊島区北大塚にあるローソンの実験型店舗「グリーンローソン」
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グリーンローソンの第1号店がオープンしたのは、東京都豊島区北大塚。JR大塚駅と東京さくらトラム(都電荒川線)の大塚駅前から近い、比較的庶民的な住宅街に位置する。

「北大塚という地を選んだのは、立地や店舗を運営するオーナーさまの熱意など、さまざまな条件を検討した結果です。駅前かつ近所に事業所や集合住宅があり、さらにお客さまが老若男女幅広いというのも、オープンするうえで大切な要素となりました」

国内屈指の繁華街・池袋を擁しながらも、東京23区で唯一「消滅可能性都市」に挙げられたことがある豊島区は、地方の人口減少問題を考えるうえでも象徴的な地域でもある。豊島区としても「SDGs未来都市」を宣言して先進的な取り組みを行っており、都市とコンビニという近未来の日常の風景を知るうえで格好の場所と呼べるだろう。

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豊島区は内閣府より、SDGsへの優れた取り組みを行う自治体として「SDGs未来都市」に選定されている