『ラブライブ!スーパースター!!』の葉月恋役で人気の声優・青山なぎさによる書き下ろしエッセー。
前篇では、バレエに打ち込んだ幼少期や、いじめと戦った学生時代のエピソードを綴ってもらった。後篇は、紛争地域の問題解決を学ぶために入った大学で味わった挫折や、ミスコン時代、ラブライブ!シリーズの声優になった経緯が明かされる。
恵まれた子どもが触れた、紛争の報道
私は、幼い頃から好きな習い事をさせてもらったり、行きたいところに連れて行ってもらったりと、恵まれた環境で育ったという自覚があります。
そんな中、父の影響で小学生の頃から毎日のようにNHKのニュースを見ていたのですが、紛争関係の報道には特に胸を痛めていました。物心がついたときには戦うことが当たり前で、それ以外の生き方を知らない人々が戦後どのように生きていくのか。
親もいない、頼れる人もいない子供たちが犯罪に手を染めながら生きていく姿をニュースやドキュメンタリーで見て、どうにかできないだろうかと感じ、中学生の頃から紛争地域の人々の人権を守る仕事をしたいと思うようになりました。
その分野について学べる場所が中央大学総合政策学部であることを知り、勉強して中大に行こうと中学3年生のときに決意しました。
高校生になると、瀬谷ルミ子さんの『職業は武装解除』という本に出会い衝撃を受けました。紛争が終われば平和がやってくるというわけではなく、巻き込まれた人々の悲しみや憎しみは決して消えることがありません。
それでも再び争いが起きないように武器を回収し、戦うことしか知らない兵士たちに職業訓練をして生きる術を教えていく活動、それが武装解除です。
私のやりたい仕事は武装解除だと確信し、そのために大学で何を学ぶべきなのか、情報を集める作業に取り掛かりました。
中央大学総合政策学部では、政治学者である目加田説子教授が国際協力に関する講義を行っていたので、中央大学に入学できたら必ず受講して将来に繋げていきたいと考えていました。また、入学前にも目加田教授のゼミナールの体験授業に参加し、必ず目加田ゼミに入って海外で活躍するんだと胸を躍らせていました。
念願の総合政策学部国際政策文化学科に入学した後、私はすぐに目加田ゼミの先輩方を探し出してゼミに入る前にやっておいた方がいいことを聞きに行くことにしました。これからの生活に目を輝かせ、希望に満ち溢れた顔をしながら、軽やかな足取りで先輩の元へ向かいました。しかし、そこで衝撃的な事実を先輩から伝えられます。
「教授が海外行っちゃうらしくて来年は休講なんだよね」
え……? はい、私の人生終了のお知らせです。