現場付近では「お金が舞っていた」
しかし、現場に急行したパトカーや捜査車両からは必死に逃げおおせたシルバーのバンから振り落とされた男を、警察官は見逃さなかった。
一部始終を見ていた近所の男性が語る。
「午前11時前でしたかね。『コラ待てー』という怒声の後に、車が急発進する音が聞こえた。尋常じゃない様子でした。外に出てみると、走って逃げて行く男を制服のお巡りさんがコンビニの前まで追いかけていって、後ろからタックルしたんです。男もお巡りさんも一緒に倒れ込みました。
100万円くらい入る分厚い袋が2つ落ちて、お札がはみ出ていました。倒された男はすぐさま立ち上がると、その袋を拾ってまた走り出しました」
現金を握りしめた強盗犯は目撃していた男性のほうへ向かって走ってきたが、車から落ちた衝撃で足の骨が折れていて、立っているのもやっとという状態だった。あっという間に警察官に取り押さえられるとその場にへたり込んだという。当時の様子を目撃した別の男性はこう語る。
「私が見たのは、男が建物に寄りかかるようにして地べたに座り込んでいるところでした。制服警官3人と私服の刑事さん1人が立って質問をしていて、素直に答えているようでした。顔を擦りむいてちょっと血が出ていたので、最初はケンカでもしたのかと思いました。
ただ、それにしては見た目もおとなしそうな雰囲気の男だったのでなんだろうと思っていたのですが、後から強盗と知って驚きました。今思えば、現場付近で主婦の方が『お金が風で舞っている』と騒いでいたのも合点がいきます」