高知の大丸デパートでの大乱闘
――毎日……。夜に喧嘩したあと、朝にはデパートに出勤するんですか?
ナンパした女性の家に泊まったりもしていたので、同じ服着てね。デパートのメンズフロアの店員が何してんねんって感じですよね。
でもそんなふうに、毎日のように街で暴れていたので、あるときデパートに喧嘩した独立系の組の若い衆が報復にやって来たんです。ものすごく弱かったので、まさか組員とは思わず。なんで職場にやって来たかというと、喧嘩したあと、そいつらが組の名前を出したので、俺も負けじと「こちとら大丸の者じゃ!」って思わず言っちゃったんですよ。
――デパートの名前を。
そうそう、高知で「大丸」といえば、大丸デパートしかないから。それでそいつらが幹部を引き連れてやって来て、売り場で大暴れしたんです。そこらじゅうの物を壊しまくって。お客さんもいる売り場で喧嘩するわけにはいかないので、とりあえずバックヤードに引っ込んで、中井の親父に電話しました。本当の父親じゃないとわかってはいながら、向こうは俺のことを可愛がってくれていたので、初めて親父に助けを求めたんです。
――助けてくれたんですか?
「わかった。待っとけ」って電話を切ったあと、一体どこにいたの?っていうくらい、すぐ来ましたね。
「お前ら何者じゃ?」「中井組じゃ」って。暴れてたやつらもわけわからないので、「なんで中井組がおるんじゃ」って言うんだけど、「この方は親分の息子さんじゃ」って。それであっという間に全員さらわれていきました。
――暴れていた人たちがさらわれたあと、職場はどうなるんですか?
呆然としながら部長が「お前は何者や?」って言ってました。でも親父は大丸デパートの外商の顧客だったので、会社の上の人たちには知られていたんですよ。それで、迷惑をかけたからって、親父からデパートにとんでもない数のお寿司が届きました。