「1カ月ほどなら何も食べなくても平気」

また、50秒に1回の潮吹きも多すぎるという。

「マッコウクジラはエサを獲る時に、深海に数十分間くらいは潜ったままでも平気な生き物。海面近くでどのくらいの間隔で潮を吹くかというデータはありませんが、50秒に1度という頻度はちょっと多すぎるような気がします。」

やはり、何らかの原因で弱り、大阪湾に漂着したと考えるべきなのかも。何とか、元気になって太平洋の大海原に帰れないものなのだろうか。

過去の記録をチェックしてみた。すると、09年5月に和歌山県田辺市の海岸にやはり、体中に傷を負ったマッコウクジラが漂着したという報告が。クジラは口を開いたまま浅瀬に乗り上げ、苦しそうに体をくねらせてもがいていたという。

ただ、発見後2週間ほどすると、変化があった。その間、ほとんどエサを食べていないにもかかかわらず、突然、元気を取り戻して大海原へと帰っていったのだとか。

前出の田村管理部門長が言う。

「クジラは1カ月ほどなら何も食べなくても平気です。体調を崩して大阪湾に流されたとしても、淀川河口でじっと休んでいるうちに回復し、和歌山県田辺市の海岸にきたマッコウクジラのように海に戻っていく可能性は否定できません。いまは静かに見守ることです」

初春に大阪を賑わせてくれたマッコウクジラ。ネット上では早くも“淀ちゃん”との愛称で親しまれているが、一日も早く無事に太平洋の大海原に戻れますように。

取材・文/集英社オンラインニュース班