ビキニ芸人からぬか漬けマイスターへの転身
前編では、芸人人生を振り返り「おっぱいネタ」誕生について語ってもらったが、後編ではぬか漬けマイスターとしてその極意を教えてもらおう。
「発酵食ってカラダにいいんです。ぬか漬けはその発酵食の代表なので、和食以外にもパスタやそのほかワンランクアップしたレシピを開発して、皆さんに提供するのがぬか漬けマイスターのお仕事です。もちろん私も『日本ぬか漬け協会』が発行する資格を持っています」
「チェリー☆パイ」は2年ほどの活動期間で解散、その後ピン芸人として活動していたみほさんは、新たに新コンビ「アップルパイン」で活動。こちらもビキニ姿で、「ア~ンぷるぷるアップルパイン!」とセクシー系のネタで攻めていた。
「実は『アップルパイン』時代に、趣味のぬか漬けについてブログにアップしていたらお声がけをいただいて、ぬか漬けの本(『アップルパイン・みほのカラダいきいき! におわないぬか漬けレシピ』)を出版していて。『アップルパイン』を解散して当時の所属事務所をやめてからは、本格的にぬか漬けマイスターへの道を進みました」
――ビキニ姿の芸人から、ぬか漬けマイスターへの華麗なる(!?)転身。いったいどうしてこういうことに?
「真面目なハナシになりますけれど、小さい頃からずっと祖母が漬けたぬか漬けを食べて育ちました。20才で仙台から上京して一人暮らしをはじめてみて、『ああ、わたしの生活に足りないのっておばあちゃんのぬか漬けだな』って思ったんです。その頃はお金もなかったし、材料に捨てるところが出ないぬか漬けがドンピシャでした。
けれど独学で作り始めたら、失敗ばっかり。ぬか漬けって奥が深くて難しいなぁとあれこれ迷走しているうちに、おばあちゃんが亡くなってしまって。落ち込みました。なんでおばあちゃんが元気なうちにちゃんと教わっておかなかったんだろうって。
でも実はそのあと残されたおばあちゃんのぬか床を分けてもらったんです。ぬかは生きてる。毎日手をかけることで、手のひらの常在菌が入り込んで発酵する、いわば“おばあちゃんの分身”です。分身を連れて帰ってきて、チーズを漬けてみようかなとかハムを漬けたらどうなるのかな……、とひとりで研究所のようになっちゃったのがスタートです。
そこからは、いろいろぬか漬けにしてみましたよ~。マンゴーとか、納豆とか、それにポッキーとかも!
でも、発酵と腐敗って本当に紙一重なので、試したいときには、ぬかの一部をタッパーに移してからにしないと、ちょっとした手違いでカビたり腐敗臭が出て、使えないぬかになっちゃうんです。失敗したときには心のなかでおばあちゃんに謝るし、毎日かき混ぜるときにもおばあちゃんのことを想いながら――。