もはや“サッカージャーナリスト”と呼ぶべきアイドル

「守備にもいい選手はたくさんいる。彼らを注目しないでサッカー好きを語っていいのか」(原文ママ)

2020年に『FOOT×BRAIN』(テレビ東京)に出演した際の発言。「より多くゴールを決めた方が勝ち」というサッカーの競技の特性上、フォワードや前線の選手に注目が集まりやすい。各国リーグの最優秀選手賞に選出されるのも、チーム内でより高額な年棒を得るのも、大抵の場合は前線の選手だ。

ただ、いくらゴールを決めようが、それ以上にゴールを決められてしまっては、試合に負けてしまう。むしろ「ゴールを決められなければ、負けることはない」ということを考えれば、強いチームを作る上で強固な守備陣は欠かせない。日本代表のグループリーグ突破も、キャプテン吉田麻也を筆頭に良い守備が徹底できていたからこそである。

いわゆる“攻撃のスター選手”だけではなく、“チームの屋台骨を支える守備陣”にも注目しよう、というのは、日本のサッカー文化をより発展させていく上で、非常に大きな意味を持つ提言だろう。

キャッチフレーズは「あなたのハートにゲーゲンプレス」

「ゲーゲンプレス」とはドイツ由来のサッカー用語で、相手にボールを奪われた瞬間に、激しくボールを奪い返しにいく守備戦術のこと。そもそもサッカーに関係のない「日向坂46」所属のアイドルなのに、そんな専門用語を自身のアイドルとしてのキャッチフレーズにしてしまうところが、彼女のサッカー愛が本物であることを証明している。

影山優佳のサッカー語録を振り返ってきたが、その溢れんばかりのサッカー愛に、改めて敬意を表したい。生半可な知識ではなく、本当にサッカーを愛し、日頃からサッカーの試合を真剣に見ているからこそ、彼女は “サッカーファン”からも受け入れられ、愛されているのだろう。

今回のW杯で、人気も認知もいっそう高まった影山優佳。日本代表と同じく、今後益々成長していく姿を見るのが楽しみだ。



文/佐藤麻水