会見からフリーランス記者を排除する世田谷区

会見でフリー記者を排除。「世田谷モデル」を提唱した保坂展人区長、区政丸投げで心は「国政復帰」の愚_1
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「いつでも、どこでも、何度でも」PCR検査を受けられる「世田谷モデル」の提唱を始め、自治体の裁量が大きい感染症対策で評価を高めた首長の一人である保坂展人世田谷区長。



しかし、2022年10月、保坂区長自身がフリーランス記者出身でありながら、区長記者会見(基本的に月次開催)からフリー記者を不当に排除する事件を引き起こした。しかもこの件で保坂区長が頭を下げて謝罪した11月の会見後も、会見を主催する世田谷区 広報広聴課は依然、フリー記者を排除するなど「二枚舌」対応を続けている。

まずは経緯を時系列に沿って紹介する。

9月27日〜10月23日

9月27日、世田谷区の「ある重大な問題」を取材するためにフリー記者の於保清見氏が世田谷区広報広聴課に10月度の区長記者会見参加を申し込むが、断られる。これ以降、同じくフリー記者 の寺澤有氏と共に参加交渉を続けるが、区は一貫して以下の説明を続けて参加拒否の姿勢を貫いた。

・「感染症対策」と「会場の大きさ」の問題で、参加者は影響力の大きい大手メディア記者に限定

・中継映像を視聴すれば区長の発言は分かるのに、なぜ会見参加に拘るのか理解できない

区職員は記者会見を自らに都合の良い内容を一方的に発信する「広報」として捉え、区民の知る権利を守るための「報道」との違いすら理解していないことが顕在化した。


10月24日(会見当日)

前日(10月23日)になっても区職員は参加を拒否する明確な理由を示せないため、於保氏と寺澤氏は会見に参加するため、開始30分前に現地訪問する旨を事前に区職員に伝え、約束通りに訪問。しかし、会見を主催する広報広聴課は職員総出で2名を排除。この際、会見室の大きさと席数に十分な余裕があることを寺澤氏らは確認し、区職員が主張してきた「会場の大きさの問題」は嘘と露呈。

*会見室の大きさ、職員がフリー記者2名を排除する様子は寺澤氏が自ら撮影し、翌25日にYoutubeで3本に分けて公開

10月25日

寺澤氏に対して、区職員(秘書課)から謝罪の電話があり、保坂区長の伝言(「昨日は不快な思いをさせて申し訳ない」「フリーランスの会見参加は検討する」)が伝えられる。


10月26日〜11月20日

保坂区長が明確に謝罪の意思を示した後にもかかわらず、区職員(広報広聴課)は「二枚舌」と判断せざるを得ない以下の対応を続ける。

・寺澤氏がYoutubeで公開した排除映像 全3本に対して、広報広聴課 大道力氏が「プライバシー侵害」を理由に削除申請。→この映像に「プライバシー侵害」に当たる内容はなく、もし侵害するとしても「報道・取材の自由」「表現の自由」が優先されるため現在(12月3日時点)もYoutubeは削除に応じていない

・寺澤氏から情報共有を受けた筆者も次回会見に自ら参加すべく10月31日に広報広聴課に電話するも、これまでの経緯を完全無視した説明(「感染症対策」と「会場の大きさ」の問題でフリー記者は参加不可)がなされる→筆者がこれまでの経緯を知っていることを明かして保坂区長謝罪との矛盾を指摘すると、区職員は観念して渋々と開催案内の連絡を承諾

・11月の会見は「開催案内連絡から先着10名のみ受付」という方針を採りながら、公平性を担保できていない事実が複数発覚(フリー記者の中でも開催案内のメール受信時刻にバラつきがある、大手メディアはフリー記者よりも早く開催案内を受け取っていた疑いあり、「定員オーバー」を理由に参加を断られた記者よりも遅く申し込んだ記者が参加を認められる、等)。

*10月までの経緯の詳細は、筆者がtheletter「犬飼淳のニュースレター」で公開した「フリー記者出身の保坂 世田谷区長が会見からフリー記者を排除(1)」を参照。また、11月の会見開催案内の詳細は、同様に「フリー記者出身の保坂 世田谷区長が会見からフリー記者を排除(2)」を参照


11月21日(記者会見当日)
前回排除された2名(於保氏、寺澤氏)に加えて、今回、新たに参加を申し込んだ筆者を含むフリー記者4名が会見に参加。筆者と寺澤氏が会見からのフリー記者排除の認識を保坂区長に直接質問。