“モノとしての塊”を具現化した無骨な仕様

――写真集に掲載するカットは、どのように選ばれたのでしょうか?

自分の中で“好きなカット”は絞られてくるので、それをデザイナーさんに渡して、まず組み立ててもらったんです。というのも、こちらの思いは関係なく、ビジュアルとしてフラットな目で選んでもらいたかったから。最終的な掲載写真を決めるときに多少のせめぎ合いはありましたけど(笑)、選ばれた写真や構成は、僕の想像以上でした。

【画像あり】厚さ5センチ、重さ2.4キロの塊になった、写真家・秦淳司の15年間の“デコトラ愛”_8
写真集の中面には、コンテナ部分に書かれた絵もたっぷり掲載

――仕様も全ページ厚紙だからこその迫力がデコトラの存在とリンクしている気がします。

側面もキレイにしたり、印刷を入れたりはせず、切りっぱなしっぽい方が無骨でいいよねと話して、こういう仕様にしました。

じつは、最初はもう少し横長で今の1/3ぐらいの厚さで作っていたんです。でも、編集者さんが「写っているものの割に、写真集としての迫力が足りない。もったいないよ。“モノとしての塊”みたいにしたほうがいいんじゃないか」と。「それ、いいですね」ともう一度作り直しました。

【画像あり】厚さ5センチ、重さ2.4キロの塊になった、写真家・秦淳司の15年間の“デコトラ愛”_9
厚さ5センチ、重さ2.4キロ

――今回ひとつの作品としてできあがって、改めてどんなことを感じましたか?

グラフィックとしての美しさ、かっこよさを切り取った写真集なので、デコトラにまつわるバックボーンは排除して、人の匂いを出さない作りになっているんです。でも、こうしてまとめてみると、改めて自分の中に人に対しての興味が出てきて。次は、デコトラの作り手側を知りたいという気持ちにもなりましたね。

それから、改めてこの先もデコトラを撮り続けるんだろうと感じました。鉄道が好きで撮り続けている人もいれば、お花が好きで撮り続けている人もいる。それが、僕にとってはデコトラだった。デコトラを撮ることへの思いは、いつまでも素人なんだと思います。


取材・文/宮浦彰子

写真集『DEKOTORA - Spaceships on the Road in Japan -』

【画像あり】厚さ5センチ、重さ2.4キロの塊になった、写真家・秦淳司の15年間の“デコトラ愛”_10


発行者:Cyaan 発行所:株式会社ダイアモンドヘッズ
定価:通常版/8,800円、限定版(オリジナルプリント付・3種)/38,500円
https://heads.co.jp/dekotora/



写真展『JUNJI HATA PHOTO EXHIBITION DEKOTORA − Spaceships on the Road in Japan −』
https://yf-vg.com/roll.html
会期:12月9日~12月25日 月曜休
時間:13:00-19:00
場所:Roll 東京都新宿区揚場町2-12 セントラルコーポラス No.105
問い合わせ先:080-4339-4949