第2位:『ミッドサマー』(2019)
さて近年カルト宗教を取り扱った映画としては、やはり『ミッドサマー』が最も有名な作品となるだろう。
90年に一度、とあるコミューンで開催されるという夏至祭に参加したヒロインらが、その地で世にも奇妙な儀式を目にし、そして自らもまたいつしか巻き込まれていく本作。その見所はいくつも存在するが、個人的に強調しておきたい点は2つ。
ひとつは、明るく牧歌的ながらもどことなくおどろおどろしく、いかにも神秘的で意味ありげな、コミューンでの催しの数々。
そしてもうひとつは、お互いにウンザリしつつも別れる踏ん切りがつかない倦怠期カップルの、やけにリアルなグダグダ感。男側にせよ女側にせよ、当事者以外の友人らは「別れるべきだ」と助言している。にもかかわらず、ズルズルと関係を続けている主要人物二人の姿には、なにかしらの共感を覚えた方もいるのではないだろうか。
そんな気が滅入るような人間模様およびヒロインの精神状態が、次第に変化していく物語と、アーティスティックな不穏さ漂う作風には、強烈な中毒性がある。無論、オススメしよう。