コロナ禍で風俗嬢が最もしんどかったこと

風俗という仕事はまさにこのホスピタリティが大事なのだという。

「私は顔が特別かわいいわけでも、巨乳でもスタイルがいいわけでもありません。だったら細かい気遣いと愛想で勝負しようと思ったんです。それをコツコツとやってきました。すると私と店外デートしたいという方が増えてきたんです。中には、1日貸切していただけるお客様や、1回2時間の1枠を4~5枠も埋めて下さる方々についていただいたおかげで、10年間もNo.1でいれて安定して稼ぐことができました」

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吉原の老舗高級店で勤務していた時代のゆみさん

売れる風俗嬢のポイントは「気遣い」「共感と傾聴力」「常にアンテナを張りどんな話題にも対応できるようにするコミュ力」「控えめで謙虚」「愛嬌」だという。

「もちろんそれだけでなく、負けず嫌いというのも大きかったと思う。常にボーイさんに 『今月、他の女の子に抜かれてないよね?』と確認していましたから」

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取材当日「これ、お役に立てればと自分の思いをまとめました」と記者に手渡してくれた文書。記者への気遣いも嬉しい

しかし、辞めることを決断するまでの2年ほどは「精神的にしんどい」と感じることも増えたという。

「体力ももちろんしんどいですが、なにより精神的に堪えた。10時間という長時間、一瞬も気が抜けなかったり、たとえ嫌なお客様でも、体の接触で意にそぐわないことがあっても、愛想よく振る舞わないといけない。高い対価と引き換えに当然のストレスとはいえ大変でした。勤務時間外もSNSやLINEの対応をしなければいけない気の休まらなさもしんどかった」

そんなストレスがピークに達したのがコロナ禍だった。

「私自身も目減りする収入源に焦っていく中で、予約は入れてくださらないのにLINEのやりとりで精神的なつながりを求めるお客様が増えて、追い詰められました。
それと同時に『この緊急事態で看護師不足なのに、私は何をやってるのだろう』と、潜在看護師である自分に疑問を持つようにもなっていたんです。なんというか看護師としての血が騒ぎました」