関係者は口を揃えて「はまりがいい」
今春、競馬学校を卒業したばかりの新人騎手とは思えないほどの勝ちっぷりだ。
10月23日、今村聖奈騎手(18歳)が45勝目をあげ、JRA女性騎手の年間最多勝利記録を更新した(それまでの記録は19年に藤田菜七子騎手が記録した43勝)。
今年デビューした新人騎手の中では、2位の角田大河騎手の28勝を大きく引き離し、ダントツの1位。3月デビューながら、騎手全体でも和田竜二、藤岡康太と並んでの21位だから立派のひと言だ。しかも、7月のCBC賞(G3)では重賞初騎乗初勝利の離れ業も成し遂げている。
JRAに颯爽と登場したニューヒロインだが、競馬学校在学中から頭角を現していたという。
「在学中から『乗れる女の子がいる』と評判でしたよ。関係者は口を揃えて『はまりがいい』と言うんです。つまり、新人にしてはフォームの無駄がなく、自分の重心と馬の支点がしっかり合っている、と。父の康成さんも元騎手で、今も現役の調教助手。生まれた時から馬が身近にいる環境で育ったことも大きいのでしょう」(厩舎関係者)
それにしても彼女はなぜ、こんなに勝てるのか? スポーツ新聞の競馬担当記者が言う。
「技術はもちろんですが、やはり斤量の恩恵は大きいです。新人の男性騎手は通算30勝以下で斤量が3キロ減されますが、女性騎手は50勝以下で4キロ減と、同じ新人でも男性騎手より、1キロ優遇されています。
男性も女性も勝利数がふえるごとに、斤量の優遇は減っていくのですが、101勝から男性騎手は優遇が0になるのに対して、女性騎手は101勝以上しても一般競争にかぎり、永遠に2キロ減の優遇が続きます。
つまり、現在の今村聖奈騎手がキロ斤量の少ない牝馬に乗った場合、101勝以上をあげた男性ジョッキーが牡馬にのった時とくらべると斤量差はなんと6キロ差。一般的に斤量1キロで1馬身の差がつくといわれているので、これは大きいですね」