2023年はますます個人が力を持つ年に。
一日一日を大切に生きて、
流されない自分を育ててほしい
「占いは当たる当たらぬよりも、いかに前向きに活用するかです」と語る水晶玉子さん。多くの占術を研究し続ける中で、空海が日本に伝えた宿曜経をベースに編み出したオリエンタル占星術は、2016年に『水晶玉子のオリエンタル占星術 開運暦』として書籍化もされて大ヒット。今年で7年目を迎えます。誕生日から割り出された27の「宿」別、365日ごとの運気のほか、一ヶ月、一年の運気や時代の流れも網羅。2023年版は、大きなリニューアルを試みてページ数も大幅増。その理由、そして、23年はどう生きればいいのかをじっくり伺いました。
聞き手・構成=芳麗/撮影= chihiro.
星の子製作=カイフチエリ
――本書は多くの読者に愛されて7年目の刊行ですが、今年は大きなリニューアルをされたそうですね。
はい。毎月の運気について、これまでよりも詳しく解説しているのが一番大きな変化。その結果、27宿ごとのページが2ページずつ増えていて。これまでより48ページも増えています。
――それは、熱心に読み込んでいる読者としては嬉しいです。
読者の方々からの「毎月のアドバイスをもっと読みたい」というご意見が多かったので。実は、2016年に初めてオリエンタル占星術の毎日のカレンダーを書籍にした時は、急に決まった話だったんですね。それまで連載していた雑誌がリニューアルになって……。その頃、他の書籍の企画を進めていた集英社の担当者さんに話したら、「これを本にしよう」と。猛スピードで出版しました。毎年、小さなリニューアルを加えていましたが、必要ならば、ここらで、大きなリニューアルもやってみようと。他にも、今年は、私のAR動画が見られる特典もついています。
――今、話題の飛び出す仕様の動画ですね。
私が動画で飛び出して、27宿別にアドバイスしています(笑)。22年は、“浄化と刷新の年”ですしね。変化を恐れずに動いて、というアドバイスを私自身も実践しようと。おかげでいつも以上に執筆や準備に時間がかかって追い詰められもしましたけど(笑)。
――2022年は、水晶さんがおっしゃった通り、嵐のような一年になりましたが、23年はどんな年になりそうですか?
まだ、混乱は続きますが、明るい兆しも見えます。渦中にいると自覚しづらいものですけど、今、私たちは大きな時代の曲がり角にいます。西洋占星術では2020年の年末から二百数十年続く“風の時代”が始まりましたが(これまでは“土の時代”)、ひとつ前の“風の時代”の始まりは平安時代から鎌倉時代への移行期でした。その中でも源頼朝が挙兵した1180年は、新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年と同じ干支の年で、源平合戦が一区切りついたのは、5年後の1185年。照らし合わせてみれば、現在の大きな変動の方向性が見えるのも2020年から5年後の2025年頃になると思います。
――まだ少し先ですね。
混乱の最中にも希望はあります。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも、御家人同士の大変な争いが数多くあって、やがて坂口健太郎さん演じる北条泰時が御成敗式目を作ります。ほぼ江戸時代まで武家政治の根本となるような、大きな秩序が生まれたわけです。混乱があるからこそ、古いものから、新しく生まれるものもきっとありますよ。
――なるほど。
23年は、そんな“終わりと始まり”が交錯し、それを実感する年になるのでは? だからこそ、“良い終わり”と“良い始まり”を作るための学びや行動を意識してほしいなとも思います。
――具体的にはどんなことをすれば良いでしょうか?
オリエンタル占星術では、井宿という年です。『井』は井戸を表します。一人でコツコツ井戸を掘ったり、毎日水を汲み上げるように、日々何かを繰り返しながら、“深掘りするもの”と“取り戻すもの”を考え、“手放すもの”と“新しく始めるもの”を分類していくといい年です。それから、東洋の十干占いでは雨のような水の気を表す癸、干支は卯の年ですけど、どちらも小さくて、でも広がる力があるもの。これは小さいもの、つまり、個人が力を持つ時代になるということ。そして何でも積み重ねや、継続が大事です。
――すでに個人が活躍する時代と言われていますが、ますますその流れが加速するんですね。
はい。社会もメディアのあり方もさらに変化していきますしね。だからこそ、一人で学びを積み重ねて、知識や力をつけることは、23年の最重要事項です。不安な時代だからこそ、流されず、自分の物差しを大切にすること。そのために、知識を身につけたり、体を鍛えたりするなど、コツコツ深掘りしながら、取捨選択してくださいね。急がなくてもよいんです。いわばいろいろなものが混じった水をゆっくり“濾過”するような感じで。井戸は澄んでいないと、ただの水たまりですから(笑)。
――なるほど(笑)。
何を深掘りすべきかは、本書にも27宿別に記していますが、それ以外にも迷ったら、あえて、自分が苦手なものに取り組んでみるというのはひとつの手です。苦手なものって何も感じないものより意識が向いているということですから。一ヶ月でも挑戦してみたら、何か新しいものが得られるかもしれません。継続すると自信もつくはずですし、それは財産ですよね。
――他に注意点はありますか?
23年の特徴といえば、上半期に誰にとっても運気が波乱しやすい危険な時期「七曜陵逼」が5回もあることです。20年も多かったけど、もっと多い。この時期は、極端なことはせずに、急に予定を変えないなどの注意が必要です。
――その時期は、慎重になることも必要ですね。
だからこそ、一日一日をより大切にしてほしいんです。大変な時期でも、一日単位で見たら良い日もあるものですよね。幸せやリラックスできることってたくさんあるでしょう。この本の毎日の占いを見ていただければ、それがよくわかると思います。どんな時代でも、そこに生きていた人たちは一日ずつ懸命に、乗り越えていたはずだから。そんな日々のお供として365日のアドバイスをますますお役に立ててほしいです。占いは長いスパンで物事を捉えられると同時に、今日一日を生き切る助けにもなりますから。23年もそうして一日一日を大切に積み重ねていけたら、24年にはまた、そこから大きく育つものが得られるはずです。