第4位:『ビバリウム』(2021年)
『ビバリウム』(2021年)に登場する正体不明の〝子ども〟も、その気持ち悪さでは大したものだ。
本作は「どこにでもいるようなごく平凡な男女が、突如として外界から隔絶された謎の住宅地に閉じ込められ、何者かの意思で〝人型の生命体〟の世話を強要される」というSFホラー映画。やむを得ず二人はその外見だけは人類に酷似した男児を育てることとなる。
「盗み聞きした他人の会話の内容を、無秩序に復唱し続ける」
「何かを要求する際には、甲高い声で鳴き続ける」
といった言動で主人公らを悩ませる〝子ども〟だが、彼が幼い少年の見てくれを保っているうちはまだ常識の範囲内。
その喉にはカエルのような鳴嚢(めいのう)が存在していて、ときにはそれを使って謎の言語を操る。さらには主人公らの目を盗んでは時折、謎の上位存在とやり取りを行っているような素振りも見せており、まるで可愛げがない。明らかに未知の生命体である。
そうでなくとも人の神経を逆なでするかのような言動を連発する上、成長後の顔立ちは二人を閉鎖空間に招待した不動産業者にそっくり……と、ただただ不気味。
社会風刺的で救いがなく、フラストレーションが溜まる一方のストーリーも、彼の気持ち悪さを倍増させている。