シンシア・ギブと青春映画のスターたち

女優に目を向けると、前年初登場を果たしたシンシア・ギブが最多4回表紙を飾り、新女王となった。ジェニファー・コネリーとリー・トンプソンが2回で、1983年から毎年3回以上登場していたフィービー・ケイツがまさかの0回となっている。

リヴァー・フェニックス降臨。5年ぶりの男性表紙となる一方、女優側にはシンシア・ギブ旋風が_2
1月号/シンシア・ギブ 2月号/ジェニファー・コネリー 3月号/リー・トンプソン 4月号/シンシア・ギブ 5月号/ダイアン・レイン 6月号/リー・トンプソン
©ロードショー1987年/集英社

シンシア・ギブは、1986年に青春スポーツ映画『栄光のエンブレム』(1986)と戦争ドラマ『サルバドル 遙かなる日々』(1986)が公開され、一躍注目された。続いて『マローン 黒い標的』(1987)『殺しのナイフ ジャック・ザ・リッパー』(1988)が公開され、日本では新アイドルとしてもてはやされた。

だが、出演作はいずれも端役で、代表作と呼べるものがないため、人気を持続することはできなかった。現在はほぼTV専門の俳優となっている。この時期のハリウッドでは、彼女のような“ガール・ネクストドア”風の親しみやすい感じの女優が人気で、ライバルが多かったのだ。たとえば、11月号で初めて表紙を飾ったメアリー・スチュアート・マスターソンもそのひとり。青春映画『恋しくて』(1987)のボーイッシュなキャラクターが強烈な印象を残したが、本作には同じタイプのリー・トンプソンも出演している。

若手俳優にとっては青春映画が登竜門であり、80年代の青春映画の名手といえば『恋しくて』の脚本・製作を手がけたジョン・ヒューズ監督だ。ヒューズ監督は、『すてきな片想い』(1984)『ブレックファスト・クラブ』(1985)『プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角』(1986)で連続起用した秘蔵っ子モリー・リングウォルドをはじめ、『ブレックファスト・クラブ』のその他のキャスト(エミリオ・エステベス、アンソニー・マイケル・ホール、アリー・シーディ、ジャド・ネルソン)、マシュー・ブロデリック(『フェリスはある朝突然に』)、青春映画ではないが『ホーム・アローン』(1990)のマコーレー・カルキンなどをブレイクさせたことで知られている。

もし、シンシア・ギブがジョン・ヒューズ作品に関わっていたら、違ったキャリアになっていたかもしれない。