登場人物が毎日殺されるのに、ちゃんと面白い
――映画『カラダ探し』(2022)は、人気小説を映像化したホラーです。出演が決まったときの感想を教えてください。
もともと漫画が好きなので、原作小説を元にした漫画はお話をいただく前から読んでいたんです。何度も同じ日を繰り返すストーリー展開も含めて斬新だなと思いました。同世代のこれだけ豪華なキャストのみなさん(眞栄田郷敦、山本舞香、神尾楓珠、醍醐虎汰朗、横田真悠)と一緒に出演できたので、たくさんの人に見ていただきたいという気持ちです。
ただ、ホラーとしてすごく怖いので、映画化したときに見る人をせばめてしまわないか不安でもあったんです。でも、いざ完成した作品を見てみたら、すごくおもしろい映画になっていて。こんなに登場人物たちが毎日、毎日、殺されるのに、緩むことなくストーリーが展開して楽しめる作品はなかなかないぞって思いました。
――橋本さん演じる高校生の明日香は、5人のクラスメイトと共に時間のループに取り込まれ、毎晩のように真夜中の校舎で血まみれの少女の霊に殺される日々を繰り返します。
撮影でも毎日、みんながいろんな殺され方をしました。最初に篤史(神尾楓珠)がカラダを真っ二つにされて殺されるんですが、現場ではスタッフさんが足の方向にこだわりを持って微調整していたのが印象的でした。
私もバラバラにされたカラダを下駄箱に押し込まれるシーンがあるんですが、何人かのスタッフさんと一緒に手や足を下駄箱から出して撮影しました。後ろからみたら、みんながお尻を向けている光景がおもしろかったかも(笑)。
――ホラー映画ならではの撮影の大変さは?
カット数が多いことと、CGの処理が加わるので、想像でお芝居しないといけない大変さはありました。あとは血のりでベタベタだったこと(笑)。あれ、なかなか取れないんです。ホラーなので恐れおののくお芝居も多いのですが、リアリティを感じさせるために、実際には結構オーバーに演じなければいけなかったんです。
たとえばラストに巨大な敵と戦うシーンは、3日連続で撮影したんですけど、実際には10分くらいの繋がった映像になるわけで。2日目の朝一番に、1日目の最後に撮ったマックスの恐怖の状態に持っていかなきゃいけなかったり。そのつながりを意識するのが難しくて、かなり気持ちを振り切って演じました。
あとはプールのシーン。室内の温水プールでしたが、長時間水に浸かるので、体が冷えてきて頭まで痛くなりました。キャストはもちろん、アクション部のみなさんも、水中から私たちを引っ張ったり。もう、全員が大変なシーンでしたね(笑)。
劇中にはグロテスクな描写もあるけれど、それはCGや音楽や撮影の仕方による部分が大きいので、撮影中に怖いと思う瞬間はあまりなかったです。
――今回、橋本さんが演じた明日香は、友達がいない、ぼっちの女の子です。
私と真逆のタイプですね。今まで演じた主演作の中で、一番台詞が少なかったんじゃないかな。台本を覚える上では少し楽だったけれど、その分、表情で見せなければいけないのは難しかったです。
――ホラーとタイムループと青春、3つの要素が絶妙に描かれています。
前半はすごく怖いけど、タイムループしていくうちに6人が仲良くなって青春の色が強くなっていく。その3本柱のグラデーションがあるから、見ている人も怖さを押し付けられることなく、新鮮な気持ちで楽しめると思うんです。それぞれに違う事情を抱えた6人が、お互いを支え合う過程はすごく素敵だと思いました。
――海で6人がはしゃぐシーンは、ホラー映画とは思えない爽やかさでした。
もうあそこはほぼアドリブ。一度テストで(醍醐)虎汰朗が転んで海の中に入っちゃったんです。でもそれが面白かったから、本番で(眞栄田)郷敦や(神尾)楓珠も「念の為ね」と言いながらマイクを外していました。3人とも、まんまと海に入っていましたね(笑)。
泊まり込みで撮影していたので、みんなとすごく仲良くなれたし、このメンバーで共演できてよかったなと思います。