内部文書に「性教育とジェンダーフリーを潰す」
「河野はふしだらな人物である」と、デマによる人格攻撃がなされたビラがポスティングされ、バス停などに大量に吊るされていた。ビラを書いたのは右翼の男であったが、配ったのは統一教会系の人物であった。しかしビラの影響は大きく、未だにそのデマを信じている人もいるという。
「旧統一教会の内部文書には『性教育とジェンダーフリーを潰す』と書いてあり、そのために安倍晋三氏と山谷えり子氏の力が必要だとも記されています。2003年に文科省の指導要領が変わってしまったのは、統一教会が政治家を動かし、それによって行政が動いたからです。
ジェンダーフリーに対する攻撃も物凄く行われています。実際、山谷氏は『ジェンダーフリーなどという言葉は日本で勝手に作られた和製英語だ』と主張していましたが、それは間違いです。バーバラ・ヒューストンという学者がしっかりと論文に書いています。
そして2003年頃、各地方議会で『ジェンダーフリー教育に反対する』採択がなされていきます。ところが、その論拠となるものが、これもまたデマだったのです。『ジェンダーフリー教育を行っている小学校は男女ともにランドセルをみんな黒色に統一した』『高校では、男女が同じ更衣室で着替えさせられている』といった『極端』な現場がある、と書かれた書籍が出回っていたんですね。
それを元にして、各地方議会は反対を採択していた。ところが、鹿児島の南日本新聞の記者が、議会に提案した議員に尋ね、その書籍を参考にした学者に訪ね、丁寧に調査していったら、そんな極端な現場などなかったことが分かったんです。ランドセルの色は自由だし、男女の更衣室も別々です。そんなでたらめを書いた本を使って鹿児島だけでなく、全国の多くの地方議会で同じような採択がなされていたのです」
事実無根のデマを前提に性教育やジェンダーフリー教育を攻撃する勢力が、ここまで地方議会に影響を及ぼしていた。また中学校や高校の授業、あるいは市民公開講座に旧統一教会の信者が入り込んで、すでに何百時間も講演を行っているという事実も現在行われている調査報道で明るみに出てきている。