「博多あまおう」はイチゴLOVEの日本人の気持ちが原動力

みなさん、イチゴは好きですか? 僕は大好きです! あまりに好きすぎて、イチゴを買ってきてもひとりで1パックを即完食! すぐになくなってしまいます。
そんな僕も大好きなイチゴが「博多あまおう」。福岡県の農業総合試験場が主導して5年かけて研究開発した品種「福岡S6号」から生まれたイチゴです。「博多あまおう」は商品名で、商標登録されています。「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字を取って「あまおう」の名前がつけられたそうです。
果実は短円錐形で整っていて、ツヤのある濃こい赤色をしています。甘さと酸味のバランスが良く、果汁の糖度が高く、濃厚な味が特徴です。

色や形、糖度などの厳しい規格をクリアしたイチゴだけが「博多あまおう」を名乗ることができます。規格をクリアできず、「博多あまおう」になれなかったイチゴはジャムやジュースとして加工されます。

「博多あまおう」は15年連続で最高単価を記録しており、最近では香港を中心とした海外にも輸出されています。2015年には、福岡の農家さんが育てた「博多あまおう」が世界最重量のイチゴとして32年ぶりにギネス世界記録を更新しました。その重さは1粒250グラム! 味も値段も見た目も、まさに「イチゴ界の王様」と言えるような存在となっています。

イチゴは世界各国で食べられている果物ですが、日本人は特にイチゴが大好き。生食でのイチゴの消費量は日本が世界一だという説もあります。その背景には、生食好きの日本人がおいしいイチゴを作ろうと日本各地でさかんに品種改良を進めてきた歴史があります。いや、イチゴLOVEだからこそ、もっとおいしいイチゴを! という気持ちが品種改良の原動力になったのかも……?

「たまごが先か、鶏が先か」ではありますが、その結果、日本では現在300種以上の品種が誕生。世界のイチゴの品種の半分以上が日本の品種とも言われています。どれだけ日本人はイチゴ好きなんでしょうか。びっくりしますよね。

「博多あまおう」だけでなく、ほかの国産のイチゴの人気も海外で高まりつつあり、特にアジア諸国で人気を集めています。

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