『耳をすませば』(1995) 上映時間:1時間51分/日本
監督:近藤喜文
声の出演:本名陽子、高橋一生ほか

中学生の頃に友達と映画館に見に行ったのですが、甘酸っぱい青春や初恋の初々しさが印象的で、今でも1年に1回は見たくなる作品です。ヒロインの月島雫は小説家になるのが夢ですが、自分が書いた物語が果たして面白いのかどうかわからないし、母親からは普通の高校に行きなさいなどと言われている。僕自身も学生時代、親に脚本家になりたいと伝えたら「そんなバカなこと言ってんじゃない」と言われたりもしていたので、ヒロインの気持ちがすごくわかるんです。そういう意味では、自分自身の過去を思い出す物語でもあります。

『ひまわり』(1970)Igirasoli 上映時間:1時間47分/伊・仏・米・ソビエト連邦
監督:ビットリオ・デ・シーカ
出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニほか

戦争によって引き裂かれた男女の愛を描いた、悲恋中の悲恋。抗えない大きな力や理不尽なものに翻弄される物語は本当に切ないですし、個人的にすごく惹かれるテーマです。ヒロインを演じたソフィア・ローレンも大好きですし、ヘンリー・マンシーニの音楽も最高。流れるだけで切ない気持ちになる劇伴は、人生のベスト5に入るくらいお気に入りです。

大人気恋愛小説家、宇山佳佑が選ぶ珠玉の恋愛映画10本_e
Everett Collection/アフロ

『いま、会いにゆきます』(2004)上映時間:1時間59分/日本
監督:土井裕泰
出演:竹内結子、中村獅童ほか

日本の恋愛映画の中で一番好きな作品。死んだはずの妻が夫と息子の前に現れるファンタジーです。脚本家を目指していた頃、2時間のお話を書くコンクールに挑戦していたのですが、この映画の展開や台詞を書き出して自分なりに脚本を研究していたくらい。過去と現在が交錯するバランスも絶妙だし、物語として驚きも感動もある。脚本家の勉強をする上で、教科書にさせていただきました。

『ビューティー・インサイド』(2015)뷰티 인사이드 上映時間:2時間7分/韓国
監督:ペク・ジョンヨル
出演:ハン・ヒョジュ、キム・デミョン、パク・ソジュンほか

目が覚めるたびに人種も性別も年齢も違うさまざまな容姿になってしまう男性が主人公の物語。一目惚れしたヒロインをイケメンの状態でデートに誘って成功する主人公ですが、同じ姿でいるために3日間徹夜をしたため、うっかり電車で寝てしまい、起きるとおじさんの姿になってしまうんです。この映画は脚本家になってから、たまたま新宿の映画館で見たのですが、アイディアが秀逸で作家として「やられた」と悔しさを感じました。自分もこんな設定で物語を書きたかったと思うくらい本当に素晴らしい作品。もしも日本でリメイクするなら、僕が脚本を担当したいです。

大人気恋愛小説家、宇山佳佑が選ぶ珠玉の恋愛映画10本_f
©Everett Collection/amanaimages

撮影/石田壮一 取材・文/松山梢