「番組の演出にどう応えるかは、2大バラエティ番組に学んだ」フジの男性看板アナ、佐野アナと伊藤アナの仕事の流儀――_02

やりがいと幸福感

伊藤 ちゃんとやらないと怒られるのは、当たり前でしょう。こっちは、何が起こるかわからないところで、瞬時にどうやったら面白くなるかを考えなきゃいけないステージにいたんですからね。言いたくはないですけど……能力の差は、歴然でしょう(笑)?

佐野 そっちは何があったって、時間がくれば終わるだろう。タカさん(石橋貴明)か、ノリさん(木梨憲武)のどっちかが「もう、終わろうぜ」と言えば、それで終わりなんだからさ。こっちはディレクターがOKを出すまで、ずっとやらなきゃいけないんだからな。ずっと続く長い戦いだったんだから。

伊藤 ん!? 佐野さんいま、はじめていいことを言いましたね?

佐野 えっ!? そう? 俺いま何か言った?

伊藤 バラエティのイロハを学んだステージが、それぞれに違うという話は、意外にも芯を食った話で。我々が番組の演出にどう応えるかという肝の部分だと思います。

僕はその状況の中で、いま何が面白くて、この瞬間目の前で起きていることを編集するとすれば、どこが使い所になるだろうかというのを、台本にない世界で判断するというのがメインのステージだったわけです。

で、佐野さんは大きな絵がある中でどう泳いだらいいのかを考えるというのがメインステージで――。

佐野 こっちは、全部逆算。アウトプットは、みんなわかっているわけですよ。問題は、どういう道順でそこに辿り着くかで。あそこに行くためには、その三つ手前で、極楽加藤さんに怒ってもらっておかなきゃダメだなとか。全部逆算しているわけですよ。だから一つ間違えると、最初からやり直しになっちゃう。

伊藤 『めちゃイケ』と『みなさん』では、同じバラエティでも、作り方が、全然、違うんですよね。僕と佐野さんが恵まれていたのは、その2つの番組の中に、各々ちゃんと自分の居場所というのがあって、自分を大切にしてくれるチームに巡り会えた……ということに尽きると思います。

佐野 俺たちは幸運だった。俺たちは恵まれていた――それで終わらせちゃいけないというのはわかっているんだけど。でも事実として俺たちは本当にラッキーだったし、恵まれていたんだよなぁ。