「3000円出しても食べたい」

――約2年間で投稿した動画が63本(2022年9月4日現在)。今まで自然から「獲ってきたもの」を料理した中で、いちばん美味しかったもの、お店で出して良いレベルのものはありますか。

「いっぱいありますよ。ぱっと思いつくのは、アメリカザリガニのエビクリームパスタって相当美味かったです。これはもうね、お店で3000円でも頼んじゃうぐらい美味しかったです」

――逆にいちばんきつかったのはどれですか。

ハクレン。中国の魚なんですけど、荒川の中でもあったかい下水の処理水が流れ出る水路にいたんですよ。素揚げして食べてみたんですが、臭くてダメです。現地の養殖のハクレンは普通に美味しいらしいんで、多分場所の問題なんだろうな」

――では普通の食材や料理で苦手なものってありますか。

「(即答に近い速さで)チーズと塩辛、レバーのような内臓系。臭覚が敏感なので、ニオイの強いものは苦手なんですよ。血のニオイとか発酵したものとか」

――でも動画ではドブでさらった魚とかよく食べてますよね?(笑)

「ドブのニオイは、ある程度受け入れられるので(笑)。オエッとはなんないんで(笑)」

現在はYouTubeの活動だけでなく、タガメなど絶滅危惧種の水棲生物再生のために全国に湿地を作るプロジェクトに取り組みたいと考えている。

「プロジェクトとかって言っていますけれど、要は水たまり作ったらどんな生き物がやってくるかなって、自分が知りたいだけです(笑)。本にも書きましたが、子どものころ、家の近所に生物園という生きた生物を展示する施設があったんです。そこに通って職員さんにいっぱい質問したり、展示前のクモの飼育を見せてもらったりしていました。祖父母もそうだったんですけれど、子どもの『知りたい』『やってみたい』をダメって禁じるんじゃなくて、純粋な好奇心に付き合ってくれた大人の存在が、今も自分の心の中に残っています。だから今の子どもたちのために、自分もそういう大人になりたい、というのが目標です」

(インタビュー・文/神田憲行)

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