トノサマバッタはほぼカニ味、東京湾でサメを釣る――地球は食べ物で溢れている_1
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黒く塗った角材でトノサマバッタを釣る

バッタは素早く跳ぶので捕つかまえづらいイメージがあるかもしれないが、コツさえつかめば素手でも捕獲できる。草の間に紛れていると見つけにくいので、ドカドカと草むらを歩き回ってバッタを飛び跳ねさせる。バッタが足音に驚いて飛び跳ねたところを目で追いかけ、着地点を覚えておく。あとはゆっくり近づいて草ごとバシッとおさえる。多くのバッタはこの方法で捕まる。ただ、トノサマバッタだけは例外だ。

トノサマバッタはバッタ界屈指の脚力の持ち主で、強靱な脚から繰り出される大ジャンプは、とても人間の目で追える速さではない。背中の翅をうまく使えば、一回のジャンプで100メートルくらい移動するものすらいる。トノサマバッタを捕つかまえるときは目ではなく網に頼るべし。デカい網を持って草むらをガサガサしよう。

トノサマバッタの場合は夏から秋にかけて産卵期を迎むかえる。この時期は、交尾の際にオスがメスの背中に乗ろうとする習性を利用して、オスのトノサマバッタを釣り上げることができる。たこ糸にマジックで黒く塗りつぶした小さめの角材を結びつけ、草むらに放り投げるのだ。

すると、黒い角材をメスと勘違いしたオスのトノサマバッタが飛びついてくる。たこ糸をたぐると角材にしがみついたオスのトノサマバッタを捕まえることができる、というわけ。角材をメスだと思い込んでいるから、オスはちょっとやそっとじゃ逃げ出そうとしない。虫の習性を利用すれば草むらでも釣りができるのだ。

トノサマバッタは味もかなり美味い。生食はおすすめしないが、炙ってしょうゆをたらして食べると、ほぼカニだ。どっかの大学の研究でトノサマバッタを食用として養殖する試みがあるらしいので、成功を祈っている。