「家族は食べません」

――ヨモギ団子から入って野草を食べるというのはわかるんですが、そこから昆虫を食べる方向に行くのは、大きなジャンプがあるのでは(笑)

「そんなことないですよ、郷土料理でイナゴとかハチの子を食べるじゃないですか。僕も初めて自分で昆虫を調理して食べたのは中2で、近所の林で取ってきたハチの子を適当に塩・コショウで炒めて食べました」

――本格的に「獲って食べる」ことにのめり込みだしたのは……。

「高校生のとき。バイト先の店長に霞ヶ浦(茨城県)に連れて行ってもらって釣りをしたんですよ。そこで釣ったアメリカナマズを持ち帰ってフライにしたら、もう、とんでもなく美味かった。それで『うわ、やべえ。生き物ってうめえ』と思って、そこから自然のものを獲って食べることが加速した気がしますね。夏休みなんかほとんど毎日、何かを獲ってきて食べていた気がします。それまでは昆虫を獲って満足、飼って満足だったんですけど、新たな道を切り開いている感じがしました」

――そういう、息子が毎日、虫とか野草をとってきて食べている姿を見てご両親はなにかおっしゃいませんでしたか。

「別に何も。ただ母親からは『調理道具は家族のものと分けるように』と厳命されました。でも一緒にしていましたけれどね(笑) 家族は、いくら美味い美味いと言っても、僕が調理した虫を食べたことはないと思います。別に食べたくない人が無理に食べる必要もないので」