乗ってびっくり、驚きの連続だったIONIQ 5

運転席に座ってみるとまず、計器類からカーナビまですべてが一体となったディスプレイに目を奪われた。
最近のEV車はどこのメーカーのものも、車載ディスプレイを採用しているという知識ぐらいは持っていたが、IONIQ 5の2画面に分かれる洗練されたデザインのディスプレイを前にすると、それだけで心が踊った。

カーシェアしたIONIQ 5は、ひたすら“未来”な電気自動車だった_6
横長液晶パネルが並べられたインパネ部

もともと横幅が広くホイールベースも長めの大きな車ではあるが、車内は予想を上回る広さで、クーペ型SUVの車内であるにもかかわらず開放感があった。
特に運転席と助手席の足元に大きな余裕があり、広々としているのが心地よい。

カーシェアしたIONIQ 5は、ひたすら“未来”な電気自動車だった_7
車内は想像以上の広々空間

内装でもうひとつ特筆すべきは、運転席にも助手席にもオットマンがついていることだ。
駐車中、シートの脇に施されたボタンを操作すると、背もたれが倒れ、オットマンがせり上がってきて、シートが自動的にリラックスポジションとなる。
聞くところによると、ガソリン給油と比べると長い時間がかかる充電中、ドライバーにリラックスした姿勢でのんびり待ってもらうための機能らしい。
未来チックな車なのに、こんなところはなかなか人間的で面白いと思った。

ちなみにIONIQ 5は、90kW級の急速充電器を使用する場合、32分で10%から80%までの充電が可能なのだそうだ。思っていたよりも早いじゃないか。
充電時間の長さとともに、EVは航続距離の短さがよく取り沙汰されるが、満充電にしたIONIQ 5は、僕が借りた基本グレードで498km、上級グレードでは618kmという長い航続距離を実現している。
そのくらい走るのであれば十分であり、もうEVゆえのデメリットとは言えないのではないかと思う。

カーシェアしたIONIQ 5は、ひたすら“未来”な電気自動車だった_8
充電中の液晶パネルには完了までの残り時間が示される

肝心の走りについてだが、自動車の評論家でもカーマニアでもない一介の平凡な物書きである僕は、これまでガソリン車にしか乗ったことがなく、他のEVとは比べようがない。
少なくとも、普段乗っている愛車(スバル・XV)とはまったく違う感覚で、静かかつ滑らか、そして小気味よい加速性能が圧巻だった。
運転支援システムは今どきの車なら珍しくないのかもしれないが、初めてでもすぐに使いこなせるほどわかりやすく、先行車追随機能も車線キープ機能も非常にスムーズに作動した。

そのほかにも、オートパーキング機能や自動でホップアップするドアハンドル、右左折時にフロント画面に表示されるサイドカメラの画像などなど、たくさんの革新的な機能性が施されているIONIQ 5。

カーシェアしたIONIQ 5は、ひたすら“未来”な電気自動車だった_9
左・ウィンカーを出すとフロントパネルにサイドカメラからの画像が映し出される。右・キーを持って近づくとホップアップするドアハンドル

車庫入れや縦列駐車がもともと得意なアナログおじさんの僕に言わせれば、試してみたオートパーキングは、遅いうえに危なっかしい感じがして、「もういい! 自分でやる」となってしまったが、その他の大半は素直に称賛したくなる便利な機能だった。