また、これまでのキャンプと比べ、明らかに大谷の個別アップの時間が増えているのが印象的だった。昨年のシーズン中はトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」が考案したプライオボール(重さの違う6種類のボール)での「壁当て」をルーティンに導入。肩肘の強化や投球フォームの再現性の向上などにつなげたが、今年はケトルベル(ハンドルのついた鉄球)、チューブを使ったストレッチ、ボディーブレードを使った腕の体操を新たに導入した。打撃用手袋には左手親指の付け根を保護する特殊クッション材を新たに採用。ここでも変化を恐れない一貫した姿勢が表れていた。

過去最高の状態で迎える2022年は「15勝・50発」も夢じゃない

驚いたのは、3月22日に大リーグ機構(MLB)と選手会が、打順に入った先発投手が降板後もDHで出場を続けられる新ルール「大谷ルール」に合意したこと。ロイヤルズとのオープン戦後の記者会見は、その話題一色だった。エンゼルスのジョー・マドン監督は「素晴らしいニュース。歴史を変えることになる」と興奮気味に話した。新ルール導入は、二刀流選手を大リーグ全体で増やそうという狙いがあるという。大谷も「個人的にもチーム的にもすごく大きい。自分が登板する時にしっかりと、それを生かしたい」と話した。

オープン戦の成績は、打者として打率・280、3本塁打、7打点。投手としては2試合、5回2/3を投げ4失点(自責3)。同7日(日本時間8日)の開幕・アストロズ戦には「1番・投手」で出場する見込みだ。

今年も”SHO-TIME”を魅せる。番記者が見た、エンゼルス・大谷翔平の進化_c

ここまでキャンプ初日から一貫して感じたことは、コンディションの良さ。水原通訳が「翔平はめちゃくちゃ状態は仕上がっています。今までの中で一番いいかなと勝手に思っています」と語れば、大谷自身も「去年の始めより良い状態で臨めている」と自信を見せている。

昨春キャンプではメジャー自己最速101.9マイル(約164キロ)を計測し、5本塁打をかっ飛ばした。体重は102キロで昨年と変わらないが、状態は過去最高と呼ぶにふさわしい。

2年連続MVPはもちろん、投手として15勝、打者として50発も十分に射程圏内にあると見ている。

写真/アフロ