王道ジャンルとのオーダーを受けて企画を構想
そんな「Dノベルf」の記念すべき第1弾として登場する作品のうちの1つが『殿下、ちょっと一言よろしいですか?~無能な悪女だと罵られて婚約破棄されそうですが、その前にあなたの悪事を暴かせていただきますね!~』(以下『ちょっと一言』)(著者:斧名田マニマニ/イラスト:ゆき哉)。
氷のような美貌を持ち、悪女として周囲から恐れられる侯爵令嬢のルチア・デ・カルデローネが、『魔法鑑定の儀』で無能の烙印を押されたことをきっかけに、第二王子・ディーンから一方的に婚約破棄を宣言されるところから、物語は始まる。事件を解決しようとするルチアと、そんなルチアを愉快そうに眺める隣国の有力貴族・クロードによる恋愛あり、ファンタジーあり、サスペンスありの作品だ。
女性向けから男性向け、日常系から異世界ものまで幅広い作風を得意としている斧名田マニマニに、『ちょっと一言』を執筆することになった経緯を聞くと、「『Dノベルf』が始動するとのことで悪役令嬢や婚約破棄のような、王道テーマで企画を考えられないかと、お話をいただいて企画を提出しました」とのこと。さらに「女性向けライトノベルの王道ともいえる19世紀ごろの“なんちゃってヨーロッパ”を舞台にした」と教えてくれた。
同作を執筆する上で苦労した点を聞くと「着地点」と斧名田。
「女性同士のドロっとしたところは、楽しく書かせてもらった一方、どのように決着をつけるか、それぞれの女の子たちの着地点はすごく悩みました。“そういう人生だよね”という終わり方もある一方、優しい話、完全なハッピーエンドの方がよいのかなと悩んだんです。
だから、改稿を重ねながら、ストーリーもキャラクター設定も何度も変わっていきましたね。特に主人公のルチアが一番変化していきました。当初の予定では、性格のよい、誰からみても“いい子”という感じで、ちょっとぼやぼやしてる天然ちゃんだったんですよ」