誰でもマンガネームを作れる『World Maker β』

次は『World Maker β』について、『少年ジャンプ+』林士平副編集長と、制作に携わった株式会社カヤックのクリエイティブディレクター・佐久間亮介氏が登壇して語った。2021年9月22日にリリースした『World Maker β』は、絵を描けなくても誰でもマンガネームを作ることができるWEBサービスだ。

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「少年ジャンプ+」林士平副編集長

『World Maker β』にセリフやあらすじを入力すると自動でコマ割りされ、用意されたパーツを当てはめればネームを作成可能。パーツは、背景・人物・オノマトペ(音を文字で表現した「擬音語」など)が60万点以上が用意されている。完成したネームはSNSに投稿もでき、リリース開始からたった2週間で、Twitterには1万2,400作品が投稿されたという。

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株式会社カヤック、クリエイティブディレクターの佐久間亮介氏

リリース開始当初には『第1回 World Maker 漫画ネーム大賞』も開催された。総数7,500もの作品が集まり、その中から選ばれた2作品に賞金30万円が贈られ、『竜の映画館』『プール』が『少年ジャンプ+』で作品化もされた。

『World Maker』は編集部発の企画で、2018年に林副編集長が発案したのがきっかけだ。けんすう氏を含む、多くの関係者らに相談して回る中でカヤックに出会い、開発がスタート。PCのアルファ版を経て、2020年10月からプロジェクトが本格始動した。その後、集英社とカヤックの共同でデザインスプリント(長期間のプロダクト開発を短期間で疑似的に経験するフレームワーク)を4回実施してから本格的な開発を行い、最終的に2021年9月のベータ版リリースに至った。

そして現在、「『World Maker』正式版のアプリを鋭意開発中」と佐久間氏は明かす。アンケートを反映したブラッシュアップや、より手軽にネームを作れる機能の提供、自動翻訳によるグローバルへの発信など、ベータ版からさらに進化し、アプリとして開発が進行しているとのことだった。660人が回答したアンケートによれば、ベータ版でも66%のユーザーが満足し、88%のユーザーは正式版も利用したいという回答を寄せたので、今後への期待が高まりそうだ。