第4位:『パフューム ある人殺しの物語』(2006年)

鳥肌不可避! 映画史に残る残虐変態アウトローな「やばい奴」ベスト5_2

『パフューム ある人殺しの物語』(2006年)の主人公ジャン=バティスト・グルヌイユは、複数のニュアンスで〝やばい奴〟であり、悲しい生い立ちの持ち主でもある。

母親の腹から産み落とされると同時に、不潔極まりない市場の片隅に捨てられ、その後は孤児として育てられることになったグルヌイユ。いわば持たざる者として生まれた彼だが、ただひとつ、ある特殊な才能を備えていた。それは嗅覚。

あらゆるものの匂いを、遠くからでも嗅ぎ分け、先天的に捉えることのできたグルヌイユは、万物の香りに執着するようになる。そして偶然町中で見かけたある少女の匂いに惹かれ、彼女を追い回し、意図せず殺めてしまってからというもの、彼の人生の歯車は本格的に狂い出す。以降、グルヌイユは「女性の香りを保存する術を求め、その研究のために女性を殺しては実験材料にする」という、〝香水の調合師〟兼〝連続殺人鬼〟となってしまうのだ。

あくまでも女性の匂いにこだわり、殺しを繰り返しては死体を利用した香水作りを続ける彼の姿は、一見して非常に変態的。しかしそうなるに至った経緯も込みで考えると、単なる変質者というよりも、「その境遇ゆえに他人を愛し、愛される術を知ることができなかった」悲しい人物にも見えてくる。

なお本編ラスト30分でグルヌイユが披露する、驚きの〝やばい〟香水パワーは必見。